チームコーチング・・・オフショアでアジャイルを進める上で知っておくべきギャップ

昨年より、某IT大手(SIer)でアジャイル開発を進めているチームのコーチをしています。

関わらせていただいた事で分かったことがあるのですが、

それはオフショアでウォータフォール開発に慣れている人たちでアジャイルをやる上で発生する障害です。

障害と言ってもここで言う障害は「人的障害」です。

この障害は大きく2つあると考えていて、

一つはヒエラルキーからくる障害です。

ウォーターフォールは読んで字のごとく、

上から下に水が流れるかのように

階層によって様々な会社のエンジニアが関わって進める開発です。

わかりやすく言うと「建設現場」のように元請けから、下請け、孫請けのように仕事が流れてゆきます。

つまり、上下関係があるという事。

これが、フラットなコミュニケーションを主体とし、機動性を重視したアジャイル開発を行う上での「一つ目の障害」であり、あるべき姿との「ギャップ」を生む原因になっています。

ウォータフォールは主に大きなプロジェクトを運営してゆくのに向いていて

一旦リリースすると開発チームの役割は終わります。

ところが、アジャイル開発は、エンドユーザー向けのサービス、

例えばスマホアプリやサブスプリクション型のサービス開発に向いており、ニーズに応じて変化を継続して促進してゆく必要があります。

つまり、リリースしたら一旦終わりでなく、チームの陣容は変わっても継続してより良いサービスにしてゆく為に開発に関わってゆく事になります。

アジャイル開発では、自由に意見をぶつけ合う、話しあいながら、共通認識を持って、マイルストーンを細目に設定して進んでゆくのですが、上下の意識が残っていると中々思った事が言えず、その結果トラブルが後で発生という事が良く起こります。


もう一つの障害は「コミュニケーション」における障害です。

コミュニケーションが起こす障害としては、母国語の違いからくるギャップと言葉の定義付けに共通認識ができていない事からくるギャップがあります。

最初の根本的な問題は、会話の中で理解できていない言葉や表現があるまま、対話が流れて、仕事に影響を及ぼしてしまうという事。

もうひとつは、曖昧な表現をお互いの理解で進めてしまう事によって起こるギャップがあります。

特に後者の方が問題で、これはオフショアでなくても同じ母国語を話す人同士でも頻繁に発生する問題です。

後で、「わかっていると思っていた」「こんなことも説明しないといけないのか?」「普通はわかるでしょ?」と感じるような事柄です。

例えば、朝会で昨日やった事、今日やる事を確認するとして、どういうレベルの情報を出せばよいのか定義付けされていない事が多い場合、丁寧に説明する人はなかなかいなく、適当に端折って話すのが習慣化されているのではないでしょうか?

これは、面倒くさいという意識や自分を守る意識からくる行動で誰にでも心当たりがある事だと思います。

チーム運営にとって必要な情報を共有するという本来の目的を忘れて、曖昧な話をする。

ましてや今はコロナ禍でスラックなど直接対話でない中でコミュニケーションをとる事が多く、中身を見ると必要な情報が足りないという事が頻発しています。

では、どのように対策をとってゆくかという事ですが、IT企業の良い所は当然の事ながら新しいサービスに対するリテラシーが高く、使用に対し心理的な障害が少ない事です。

なので、スラックのようなテキストベースのコミュニケーションをしてゆく中で感情的障害が発生した場合は、すぐにオンラインで対話をする習慣を身に着ける事です。

直接話せば、わかることでも、端折った表現では伝わらなかったり、誤解が生じる事が多々あります。

これを、想定して直接対話をするルールを作っておけば、溝が深く大きくなることは防げます。

今後、コロナが収束してもコロナ前の状態に戻る事はないと思われます。

変化の中でその時その時に合った最適解を考え、実施してゆく。

それが、時代に変化に対応してゆく上で最も大切な事なのではないでしょうか。



オンラインで実施する企業教育の形

オンライン研修
”WAking”60 職場で内省を促し、人を飛躍的に成長察せるプログラム

現在、弊社ではZOOMやWEBEXなどのオンラインサービスを使って、研修や人材教育を提供している。

コロナ禍によって、当初は研修の代替スタイル的な要素が強かったので、正直言うと本当の意味で代替品にはなり得ないものであった。

また、従来からあったオンライン教育は決まったプログラムに関する動画を再生して、参加者が観るというスタイルが多かったが、

これはこれで有効とは言えず(弊社に限ったことかもしれないが)、リアルで実施する教育の代替品にはなり得ていなかったと思う。

ただ、現在は様々な思考錯誤の結果、リアル教育の代替品ではなく、オンラインの特性を生かした研修とプログラムが完成しつつある。

特に評判が良いのは、いくつかの企業に提供している”WA”kingという内省プログラムである。

これは、有名なヘンリー・ミンツバーグ博士が提唱している「マネハプ」からインスパイアされて作ったプログラムで、1週間に起こった出来事、特に「怒り」「悲しみ」「恐れ」「喜び」など「感情を揺さぶられた」対人関係において起こった出来事をテーマにして、5人一組で対話をするプログラムである。

これを60分かけて毎週行い、参加者は自分が持っている「普通」「基準」と向き合うのだ。

私たちは全員が全員、自分なりの「普通」を持っており、これは一人一人違っている。

しかし、この「違い」を受入れる事が出来ないが為に対人関係において「毒」を生産し、「関係性」を壊し、様々な障害を引き起こす。

この「普通」は、自分では自覚が出来ない。

仮に自覚が出来たとしても長年つきあってきた価値観に根付くものなので、一回や二回の研修を受けたくらいではなかなか変わる事が出来ない。

なので、「習慣化」が必要なのである。

私はこれから企業教育の形が変わってゆくと思っている。

単発の研修に意味がないのかと言うとそうではないかもしれないが、果たして投資効果に見合うものなのかどうか?という事に企業も疑問を持ち始めている。

幸い、”WA”kingは成果を生んでいる。

程度はあれ、参加者たちに「意識変容」「行動変容」「人格変容」が起き始めている。

半年間の長丁場であるが、半年後には彼らがファシリテーターになって、部下や後輩の”WA”kingを展開してゆく。

“WA”kingが企業風土を変える。

そう確信している。