優秀な奴ほど「気にかけ、未来を語る」

今日は「スモールステップ」のお話をする予定でしたが、

先日、ショックな事があり、




今日は

それを題材にお話ししたいと思います。






あなたの会社にも

「エース」のような、





辞めてもらっては困る優秀な社員が居ると思います。





そういう人は、往々にして手がかからない貴重な存在で

その人に任せておけば、万事上手くゆくような人。





基本的に優秀であるが故に

会社も必要以上に干渉せず、





業務上のやり取り以外、じっくり話す機会も

少なくなる傾向があります。






なぜなら、私たちは「問題」があったり、

「サポートが必要な人」の方に





意識がとられ、時間もエネルギーも費やす事が多いからです。

でも、油断して放置しておくと





「後悔先に立たず」と言う結果を招いてしまいます。

実はまさに、今お話ししたようなことが





「カンパニーコーチ」として関わっている会社で

起こってしまいました。






その彼は社内でも一目置かれた優秀な人材で

会社としても近い将来、

幹部になって欲しいと考えていた人です。




その彼が中心メンバーの一人として関わっていた

「若手勉強会」に欠席が目立つようになり、




心配になった経営者が話を聞いてみたところ、

「退職」する意思がある事がわかったのです。





理由を聞くと

来年結婚を考えている婚約者が遠方に居て、




結婚をするにしても東京に出てくる意思がなく、

それなら、彼女の元に転居し、転職しようと考えたそうです。






現在は転職活動の最中でいくつか候補企業の中から

何処に行くかを考えているという状態です。





経営者から「私からも話をして欲しい」と言われ、

面談したのですが、





心がすでに会社から離れている印象を受けました。




もちろん、会社側も引き続き、

引き留めるための説得を試みてはいますが、





そこまで、話が進んでいると

翻意させる事は難しいだろうと感じています。





ただ、彼が「転職をする」という決断に至るまでには

ある程度の時間がありました。






彼の話によると

付き合っていた彼女との間で結婚の話が出たのが半年前、






転職に向けて舵を切ったのが「8月」頃だったそうです。





一旦は、

会社側と交渉する事も考えたそうです。




例えば、

「全てリモート勤務にしてもらえないか?」




「転居先に会社の支店を出してもらえないだろうか?」

など。






でも、実際は会社に対し、何も交渉しませんでした。



その理由は、

「この会社にそこまでこだわる理由がない」という結論に

至ったからだそうです。






この言葉は言い換えれば

今の会社に魅力がないと言っているようなもので




とても、とても「重い一言」です。





もう少し早く、話が出来ていればとも思いましたが、

それでも恐らく、結論は変わらなかったでしょう。





事は急場しのぎでなんとかなるような

単純な話ではないからです。





ー--------------------------
優秀な奴ほど「会社の未来」を創る側に引き込む           ー-------------------------- 



今回の彼のような優秀な人間は、

中途半端な状況で「人に相談する」事はせず、




進退は自分だけで考える事が多いように感じます




したがって、会社にとって重要な人ほど

未来を描く側に立ってもらえるように

早くから、継続的に働きかけてゆく必要があります。





「期待は伝わっているだろう」、

「分かってくれているはず」という考えは




人の心には通用せず、




まめにコミュニケーションをとってゆく必要が




あるんだという事を

私も改めて、今回の件で学ばせていただきました。





今は「彼の幸せ」を祝福しつつも

同じことが起こらないように




早速、会社に対しては幹部候補の選定と

新しい幹部会を設立する事を提案しました。





転職にそれほど抵抗がなく、

個人の時代と言われる現代において、




優秀な人に「ずっとこの会社で働きたい」と

思ってもらえる様な





魅力ある会社創りに貢献して行きたいと

私自身も今回の件をきっかけに

決意を新たにしました。





優秀な奴ほど「まめに」気に掛けてあげる。




ご参考にして頂けたら幸いです。

日本人に合ったコーチングを創る④

前回は

義務感、強制感を感じる仕事の中で

その中に「個人の目的」を設定できるか?どうか

が大切と言うお話をしました。


今回は目標の具体的明確化についてのお話です。

これは簡単に言うと





「いつまでに、なにを、どのように、どのくらい、どうする」

という事を決めるという事です。






こうやって書くと簡単に見えますが、

日頃から「抽象」「曖昧」の世界にどっぷりつかっている我々には


具体的に決めるという事は意外と難しい事です。




また、「アクションプラン」のところでも

振れますが、






とにかく、私たちは「はっきりさせる」事が苦手な国民であり、

「決める事」を嫌がります。






でも、ここで妥協してしまうと

部下の成長も「曖昧」なものになってしまい、

変化の少ない停滞した日常に陥ってしまいます。

ー------------------------------■目標はどうやって決める?                  ー------------------------------

では、具体的に目標をいかに決めるのか?ですが、


部下が描いた「理想の姿」「GOAL」を達成するための

「要件定義」を考える事から始めると良いと思います。






理想像である「ありたい姿を実現している」将来の部下が

持っているであろう






「人格」「知識」「スキル」「経験」を考えるという事です。






そして、その「要件定義」と現状に至る

「ギャップ」を埋めてゆく事で

自身の成長に対する道筋が見えてきます。





そして、理想への「標」(しるべ)である「目標」を

今見えている、頑張れば手が届く範囲で設定します。




例えば、プロ野球選手の例で例えてみたいと思います。

(なんで?と言う突っ込みは置いておいて)






今年ロッテにドラフト3位で指名された新潟「日本文理高校」の

「田中晴也」と言う選手がいます。






私が新潟出身なので注目している子なんですが、

ドラフト指名された時にこのテーマに合った「発言」が

あったので「題材」として取り上げてみたいと思います。






田中選手は記者会見で

「日本を代表する選手になりたい」という「ありたい姿」を

掲げています。






もし、あなたが、田中選手のコーチだったら、

どうやって、この選手の目標を設定させますか?






ここで、先ほどのプロセスを使って考えてみましょう。





以下、田中選手と目標設定の為にやる妄想対話です。





コーチ:Q)いつ、そうなっていたいの? 

ー------------------------------

田中選手:➡25歳(7年後)





コーチ:Q)どうなっていたら、「日本を代表する選手と言えるの?」

ー------------------------------田中選手:➡

・22歳から3年連続「最多勝投手」になっている。

・18勝以上を3年間続けている

・通算防御率が2点台

・WBCに日本代表の先発投手として参加し、チームを勝利に導いている

・最高速度160km/hを投げている

・次にメジャーに行くのは「田中」とメディアでも言われている

・子供達のなりたい野球選手1位になっている

・チームメイトから「認められる」存在である









コーチ:Q)実現するために必要な事は?

ー------------------------------

田中選手:➡

・年間を通じて安定した投球ができる「ボディ」

・わかっていても打てない「直球」(回転数2500以上)

・何があっても動じない「メンタル」

・けがをしない「柔軟性」「ケア」を極める

・好不調に関わらず、態度を変えず、ファンに接する姿勢

・変化球のバリエーションを5種類まで増やす

・いつも見られているという事を意識して、私生活が乱れないようにする

・すべての球種でいつでも「ストライク」が取れるようになる

・サポートスタッフに対する「感謝の気持ち」を忘れない

・ファンあっての自分である事を忘れない

・チームワークを良くする存在である

・バッター心理を理解し、裏をかけるようになる

・頭を使った投球術を身に付ける






コーチ:Q)そのために来年一年間はどんなことを目標にする?

ー------------------------------

➡田中選手:

プロ野球選手としての基盤を創る

・一年間戦える体力とボディを手に入れる

・ストレートの球速と回転数を上げる

・怪我無く過ごす

・メンタルについての知識を学ぶ





コーチ:Q)具体的には?

ー------------------------------

➡田中選手:

・体脂肪率5%で体重95㎏を達成する(現状85㎏)

・メンタルトレーニングの本を10冊読む

・年間で1200㎞走る

・股割りができるようになる

※前屈や他の柔軟目標を別途細かく設定

・最高球速を5km/hアップする(155km/h)

・毎日気づいた事振り返り、記録する

という具合です。







「ありたい姿」からそれが達成される為の条件を決め、

短期の目標にする。






こうすると「遠くに見える未来」に向かう道筋が

見えてきて、部下自身も自分の成長を図る事が出来ます。

ー------------------------------

■ありたい姿や目標は変えちゃいけない?

ー------------------------------

良く研修で、

「一度決めた」「ありたい姿」や「目標」は


変えてはいけないのか?

という質問をうけます。






ありたい姿や目標達成に向けて

活動している中で



違う課題が見えたり、

もっと、やりたい事が出てくることがあります。



それでも「一度決めた」ことは

やり続けた方が良いのか?

ということですが、




私は変えても良いと思います。



なぜなら、未来のことなど

簡単に答えが出るものではありませんし、




最初に立てた目標に「苦しさ」を感じたり、

「義務感」しか感じなくなるようでしたら、

そもそも本末転倒だからです。



大切なのは、

しっくりくる「未来」を見つける為の

自己探求をし続ける事、





そして、そこに向かって

「目標」設定をして挑み続ける事です。






「未来の奴隷」になる事ではなく、

「理想の未来を更新」して「今を活性化し続ける」事です。






上司としては「コロコロ変えやがって」と

思う事もあるかもしれませんが、






繰り返し、繰り返し「苦悶」する中で

本当に望んでいる事が見えてくるはずです。




なので、部下の「成長へのもがき」を

「否定」「避難」することなく

「俯瞰して見守ってあげてください。




「自分で見つけ出すこと」が何より、

「大切」な事だからです。







今日は具体的な目標設定について取り上げました。




次回は目標を達成するための

「スモールステップ」について

考えてみたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る③

前回は「自信」を育てるために

「自己肯定感(自分の存在価値を認める)」を

向上させる必要性と育て方についてお話をしました。

今日は「自信」のもう一つの要素である

自己効力感について考えてみたいと思います。

■自己効力感を向上させる



自己効力感は

「自分が成し遂げたいと思う事をやれる力がある」と

信じられる事です。





この「自己効力感」を獲得できるようにするためには、


「描く」力とそして「描いたものを」具体的にする事、


そして行動力、継続力が重要にあります。





なので、上司としては部下に以下のような視点で


関わってゆく事が大切です。


➀目的、理由の深堀り

②目標の具体的明確化

③スモールステップ

④アクションプランの具体化

⑤成長(小さな変化)に目を向ける




今日は


➀目的、理由の深堀り


について、考えてみましょう。




まずは何と言っても、


ここが「肝」になります。



なぜなら、私たちは日常の業務をこなす中で


「目的」「理由」よりも





「早く着手する事」や目の前の「目標」に


関心を置くことが多いからです。




したがって、「そもそもなんで?」という事に関して


考える事に慣れていません。



しかし、ここが「甘い」と


全てがズレてきて





部下の行動が「止まる」ったり、


パフォーマンスが落ちる原因になります。





なぜなら、「目標」ばかりに焦点が当たると


それが延々と続くことによって




次第に「義務感」や「強制感」ばかり


感じるようになるからです。



「目的や理由」を深堀するのは、


部下にとって新しい取り組みが


「自分事」といて捉えてもらう為です。





◆価値観まで堀さげる





では、どこまで掘り下げるのか?という事ですが、

部下の持っている「価値観」にたどり着く事が重要です。




「価値観」はその人が大切にしている「考え方」や


何かを決める時の「判断基準」になるものです。





簡単に言うと「良い、悪い」「好き、嫌い」


「やる、やらない」を決めている


その人なりの「考え方」ですが、





今回扱うのは「理想像を描く」上で


基準となる「価値観」で


「こうありたい」「こうなりたい」の


根拠となるものです。




この会社、仕事を通じて


どうなりたい?どうありたい?を


言語化できると





期限を決めた「目標設定」が


しやすくなります。



後は、「価値観」探求をどうやって


やるかですが、



その人の過去にヒントがあるので

昔の事を「聴きだして」みてください。





ただし、過去の出来事は膨大であり、


沢山時間が必要です。



なので、比較的、仕事の中で活きる価値観を


聴きだすためには





リアル、二次元問わず、


「影響を受けた人」に焦点を当てて質問すると


「理想像」が描きやすくなります。






例えば、

Q)今まで出会った人の中で尊敬する人はどういう人?なんで?

Q)好きな歴史上の人物、有名人は?なんで?どういう所が好き?

Q)過去出会った中であこがれた人は?なんで?

Q)先生、先輩や上司で影響を受けた人は?なんで?

Q)好きなアニメのキャラクターは?なんで?

こういう質問を部下に投げてみてください。




そうすると


部下自身も「自分が理想とする人物像」を

描きやすくなりますし、






「なぜそう思うのか?」という価値観も見えてきます。


まずは、「習うより慣れろ」という事で


最初から上手くいかないかもしれませんが、



「なんでそう思うの?」


と部下が言う事に関心を持って


聴きだしてください。


もしかしたら、


意外な発見があるかもしれません。





次回は②目標の具体化についてお話しします。