前回は
義務感、強制感を感じる仕事の中で
その中に「個人の目的」を設定できるか?どうか
が大切と言うお話をしました。
今回は目標の具体的明確化についてのお話です。
これは簡単に言うと
「いつまでに、なにを、どのように、どのくらい、どうする」
という事を決めるという事です。
こうやって書くと簡単に見えますが、
日頃から「抽象」「曖昧」の世界にどっぷりつかっている我々には
具体的に決めるという事は意外と難しい事です。
また、「アクションプラン」のところでも
振れますが、
とにかく、私たちは「はっきりさせる」事が苦手な国民であり、
「決める事」を嫌がります。
でも、ここで妥協してしまうと
部下の成長も「曖昧」なものになってしまい、
変化の少ない停滞した日常に陥ってしまいます。
ー------------------------------■目標はどうやって決める? ー------------------------------
では、具体的に目標をいかに決めるのか?ですが、
部下が描いた「理想の姿」「GOAL」を達成するための
「要件定義」を考える事から始めると良いと思います。
理想像である「ありたい姿を実現している」将来の部下が
持っているであろう
「人格」「知識」「スキル」「経験」を考えるという事です。
そして、その「要件定義」と現状に至る
「ギャップ」を埋めてゆく事で
自身の成長に対する道筋が見えてきます。
そして、理想への「標」(しるべ)である「目標」を
今見えている、頑張れば手が届く範囲で設定します。
例えば、プロ野球選手の例で例えてみたいと思います。
(なんで?と言う突っ込みは置いておいて)
今年ロッテにドラフト3位で指名された新潟「日本文理高校」の
「田中晴也」と言う選手がいます。
私が新潟出身なので注目している子なんですが、
ドラフト指名された時にこのテーマに合った「発言」が
あったので「題材」として取り上げてみたいと思います。
田中選手は記者会見で
「日本を代表する選手になりたい」という「ありたい姿」を
掲げています。
もし、あなたが、田中選手のコーチだったら、
どうやって、この選手の目標を設定させますか?
ここで、先ほどのプロセスを使って考えてみましょう。
以下、田中選手と目標設定の為にやる妄想対話です。
コーチ:Q)いつ、そうなっていたいの?
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田中選手:➡25歳(7年後)
コーチ:Q)どうなっていたら、「日本を代表する選手と言えるの?」
ー------------------------------田中選手:➡
・22歳から3年連続「最多勝投手」になっている。
・18勝以上を3年間続けている
・通算防御率が2点台
・WBCに日本代表の先発投手として参加し、チームを勝利に導いている
・最高速度160km/hを投げている
・次にメジャーに行くのは「田中」とメディアでも言われている
・子供達のなりたい野球選手1位になっている
・チームメイトから「認められる」存在である
コーチ:Q)実現するために必要な事は?
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田中選手:➡
・年間を通じて安定した投球ができる「ボディ」
・わかっていても打てない「直球」(回転数2500以上)
・何があっても動じない「メンタル」
・けがをしない「柔軟性」「ケア」を極める
・好不調に関わらず、態度を変えず、ファンに接する姿勢
・変化球のバリエーションを5種類まで増やす
・いつも見られているという事を意識して、私生活が乱れないようにする
・すべての球種でいつでも「ストライク」が取れるようになる
・サポートスタッフに対する「感謝の気持ち」を忘れない
・ファンあっての自分である事を忘れない
・チームワークを良くする存在である
・バッター心理を理解し、裏をかけるようになる
・頭を使った投球術を身に付ける
コーチ:Q)そのために来年一年間はどんなことを目標にする?
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➡田中選手:
プロ野球選手としての基盤を創る
・一年間戦える体力とボディを手に入れる
・ストレートの球速と回転数を上げる
・怪我無く過ごす
・メンタルについての知識を学ぶ
コーチ:Q)具体的には?
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➡田中選手:
・体脂肪率5%で体重95㎏を達成する(現状85㎏)
・メンタルトレーニングの本を10冊読む
・年間で1200㎞走る
・股割りができるようになる
※前屈や他の柔軟目標を別途細かく設定
・最高球速を5km/hアップする(155km/h)
・毎日気づいた事振り返り、記録する
という具合です。
「ありたい姿」からそれが達成される為の条件を決め、
短期の目標にする。
こうすると「遠くに見える未来」に向かう道筋が
見えてきて、部下自身も自分の成長を図る事が出来ます。
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■ありたい姿や目標は変えちゃいけない?
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良く研修で、
「一度決めた」「ありたい姿」や「目標」は
変えてはいけないのか?
という質問をうけます。
ありたい姿や目標達成に向けて
活動している中で
違う課題が見えたり、
もっと、やりたい事が出てくることがあります。
それでも「一度決めた」ことは
やり続けた方が良いのか?
ということですが、
私は変えても良いと思います。
なぜなら、未来のことなど
簡単に答えが出るものではありませんし、
最初に立てた目標に「苦しさ」を感じたり、
「義務感」しか感じなくなるようでしたら、
そもそも本末転倒だからです。
大切なのは、
しっくりくる「未来」を見つける為の
自己探求をし続ける事、
そして、そこに向かって
「目標」設定をして挑み続ける事です。
「未来の奴隷」になる事ではなく、
「理想の未来を更新」して「今を活性化し続ける」事です。
上司としては「コロコロ変えやがって」と
思う事もあるかもしれませんが、
繰り返し、繰り返し「苦悶」する中で
本当に望んでいる事が見えてくるはずです。
なので、部下の「成長へのもがき」を
「否定」「避難」することなく
「俯瞰して見守ってあげてください。
「自分で見つけ出すこと」が何より、
「大切」な事だからです。
今日は具体的な目標設定について取り上げました。
次回は目標を達成するための
「スモールステップ」について
考えてみたいと思います。