チームに「心理的安全性」を築いたダルビッシュ有

WBC日本代表も順調に勝利を重ね、いよいよ準々決勝でイタリアと対戦します。


ここまでチームは危なげなく、勝利を挙げてきましたが、今の段階でMVPを一人挙げるとしたら、誰にしますか?

大谷翔平選手?ラーズ・ヌートバー選手?
私は断然「ダルビッシュ有選手」を押します。


なぜなら、「ダルビッシュ選手」はチームメイトが本来の実力を発揮する「土壌」を意識的に作り上げ、チームとして相乗効果を発揮するレベルに引き上げたからです。

その土壌とは何かというと「心理的安全性」です。


心理的安全性はグーグルが4年以上の歳月をかけて「パフォーマンスの高いチーム」の特長を調べ、
たどり着いた結論です。


心理的安全性は自分を飾ったり、偽ったりする必要がなく、素の自分を出せる心理状態を言い、チームに参加している一人一人がこのように感じられるチームはパフォーマンスが高いという事です。


ダルビッシュ選手の取った行動は、報道からでしかわかりませんが、そこから、漏れ伝わってくる情報を見ていると彼がいかにチームの中に心理的安全性を創ろうとし、そこにエネルギーを割いていたかがわかります。


例えば、いち早くキャンプの段階からチームに参加したのは、「メジャー組」と日本のチームに所属
する選手の垣根を早くとる為でした。


また、「宇田川選手」と言うオリックスバファローズに所属する若い投手が代表チームの中で萎縮している様子を察知すると「宇田川会」と言う彼を主役にした食事会を開き、チームの中に溶け込ませる事に成功しました。


その他にも自分の方から、選手たちに声をかけて垣根を取って行ったのです。


さらに、従来の代表選手たちが持っていた「国を背負うような」重圧から、選手たちを解放するために思うような結果が出ていない選手たちに向かって「野球なんで気にしても仕方ない。人生の方が大事ですから。野球くらいで落ち込む必要ない」と言うコメントを発し、野球を純粋に楽しんで欲しいというメッセージを伝えています。


チームにおける自分の役割を良く理解した上で自分がどう関わるべきかを考えているのがよくわかります。


■これからのリーダーに求められるもの

ダルビッシュ選手がとっている行動や彼が発する言動はまさしく「これからのリーダーに期待されている事」です。


チームに心理的安全性を創り、メンバーが持っている力を発揮しやすいような働きかけをしてゆく。


責任でがんじがらめに縛り、プレッシャーや恐怖心を煽って、部下を動かそうとするのではなく、
いかにリラックスさせて、部下の持っている能力を引き出すか?


現代が「答えのないと言われる時代」だからこそ、最も大切な事なのではないでしょうか?

■「対話」から始める


では、「心理的安全性」を築く為に何から始めるか?という事ですが、これもダルビッシュ選手が行ったように一人一人、部下と対話を始めてゆく事だと思います。

そして対話の中で最も大切なのは「話す」事より「聴く」事です。

部下が不安に思っている事、悩んでいる事は何か?何に詰まっているのか?どんな事を考えているのか?を関心を持って、知ろうとする事が最も大切です。

で、この場合、注意すべき事は部下が悩んでいたとしても上司が自分の考えで「納得させよう」「説得しよう」としない事。

部下が悩みを持っていたり、何か「行き詰っている」のがわかるとついついアドバイスをしたくなるものですが、ここは「グッ」とこらえてできるだけ、自己解決できるように「聴き役」に徹してください。


アドバイスが欲しければ、部下から「どうしたら良いでしょうか?」と言ってきます。

大切なのは、「聴きたい時に聴ける」、「言いたい時に意見が言える」環境を創る事。

まずは、そこを念頭に置いて、対話を始めていただければと思います。

3ヶ月も続ければ、部下やチームの変化を感じ取れるようになると思います。





アンガーマネジメントの前にやるべき事

最近また、ハラスメントに関するニュースをよく眼にする機会があります。
それを象徴するようにアンガーマネジメントに関する研修も
相変わらずニーズが高いプログラムとなっています。

一昔前は、当たり前であった部下への接し方が
今ではすぐハラスメントということになる可能性があり、
企業側も応急処置的に対策を打っているというところでしょうか。


研修を実施する事自体は人に対する関わり方や接し方に
意識が向くことになり、基本的には良い事だと思います。


ただし、私はその前に解決しておかなければならない事があると思っています。
それは、何故「怒りを覚えるのか?」ということについて、
自分なりの答えを知る事、
つまり怒りを発動する「メカニズム」を理解すると言うことです。

例えば、
「普通はここまでするのが当たり前でしょ!」
「若手から挨拶するのか当然だろ!」
「なんで、もっと早く言わないの?」
など、日常のやり取りの中で「怒り」を感じる場面は頻繁に登場するわけですが、


これは、相手が「自分が期待する反応」をしなかった事によって起こります。


そして、「自分が期待する反応」は自分にとって
「これが普通でしょ」「当たり前でしょ」という
ある意味一人一人が持っている固定観念がベースになっています。

したがって、まずは自分が認識している「普通」「当たり前」は
どんな事なのか?を自分自身が理解しないといけないわけです。


でないと、対処法的に研修をやったとしても根本的な解決にはならず、
一過性の効果しか期待できないからです。

実はこの件で最近、ある企業の管理職に対し、コーチングを行いました。

まず、その方が抱えている固定観念である「普通」「当たり前」だと思っている事を
書き出していただいたのですが、固定観念と言っても
ひとつひとつ、見てみるとおかしなことは一切なく、
実は正論そのものであり、異論を挟む余地はありませんでした。

ただし、なぜ他人は自分が当然と思っている反応をしないのか?
なぜ、自分とは違う行動をとるのか?ということについては、
「知らないから」「理解できていないから」という
認識しかありませんでした。

だから、強く言って知らしめなければと思ってしまうわけです。


■違いを認めた上でどう接するか?

この知らない、理解できていないという考えは、
自分の考え方や捉え方が絶対的なスタンダードであり、
他人にとっても当然「当たり前でしょ」という認識に立った考え方です。

しかし、私たち各々が持っている「当たり前」は
自分の人生を通じて出来た「当たり前」であり、
一人一人が違う人生を歩んでいる以上、少なからず「違い」が生じます。

例えば、仕事に対する姿勢について、
残業する事が当たり前だった時代を経験した人と

ワークライフバランスなど
個人の生活を大切にする風潮が当たり前の中で

会社に入ってきた人では、当然、仕事に対する考え方は違うわけです。

その背景には身を粉にして言われたことを忠実にやれば、
定年以降も含めてある程度人生を保証されているように感じられた時代と

会社が社員の人生を保証できなくなり、会社と社員の関係性が変わってきたという
背景の違いがあるとも言えます。

なので、部下が自分が期待する反応をしない場合については、
まずは「当たり前」が違っているのかもしれないという視点を持つ事と

その違いはどこから生まれているのか?を洞察してみる事も必要です。

■感情面からの洞察も必要

あともう一つ考えるべき事は、「感情」です。

なぜ、感情について考慮すべきなのかと言うと
私たちが「感情優位」な動物であるからです。

なぜ、感情が「思考」よりも強く、人の行動に影響を及ぼすという事に対しては
「脳」の進化において「思考」を司る機能が出来たのが
「感情」を司る機能が出来てから、2億年も後だったからであると
考えられている事は以前お伝えした通りです。

したがって、相手が自分の期待通りの反応をしなかった時には
相手の「感情」についても考えてみる必要もあります。

例えば、若手が自分の方から挨拶してこなかったとします。

この場合、「けしからん!!」と思うかもしれませんが、
やらなかったのではなく、出来なかった可能性も考えた方が良いという事です。

「他の事を考えていて、視界に入らなかったのかも?」
「仕事で何かあったのかも?」
「何か悩みがあるのかも?」
「何らかの理由で会社に来たくないのかも?」


相手の感情という視点で考えてみると色んな可能性が出てきます。

そうするともしかしたら、自分から挨拶をすべきである事は
わかっているのかもしれないけれど出来なかった可能性が
ある事が推測できるようになります。

■相手に自分の期待を押し付けない

以上、「違いを認める」「相手の感情を考える」という2つの可能性から、
相手が期待通りの反応をしない場合について考えてみました。


それらを踏まえた上で「私達ができる」事は、
自分の期待を押し付けない事ではないかと思います。


そして、「当たり前の違い」について話す場面があれば、
相手の考え方を聞いた上で「否定」せず、
「なぜ、そうして欲しいのか?」を
相手のメリットに紐付けて話し合う事ではないでしょうか?


例えば、

部下「なんで、残業しなくちゃならないんですか?」

自分「残業をしたくないのはどうしてなの?」

部下「プライベートを大事にしたいんです。仕事をするために生きているわけではないんで。」

上司「そうか。それはそうだよね。」
「私も君に残業をして欲しいわけではないんだよ。」
「仕事って納期があるでしょ?だから、それに間に合うように目標を立てる必要があるよね。」
「目標は納期をゴールに例えると今どこにいるかがわかる目印なんだ」
「君が今日到達しているべき目標に到達していれば良いんだけど、どうだろう?」
「今のペースで間に合うかな?」

新人「そう言われると、どうですかね?」
「でも、まだ僕新人なんで、そこまで求められるのはおかしいと思います。」

上司「そうか。新人だから、例え仕事が終わってなくても
残ってまでやる必要はないと思っているんだね」
「じゃあ、例えば君が先輩になったとして新人と2人で組んで
仕事をすることになったとしよう。」
その彼が「君と同じような考えで先に帰ってしまったら、君はどう思う?」
「目標に間に合わせるために彼が出来なかった分を
君が引き受けなければいけないんだよ」

部下「そうか、自分がやらなければいけなかった事を
他の人がカバーしなくてはいけなくなるんですね?」

上司「そうだね。私たちは組織で働いている以上、協力し合って、
組織の目標を達成するために動く必要があるんだ。」
「私だって、本来は残業する事は良い事ではないと思っているけれど、
時には必要な場合もある事はわかってくれたかな?」


部下「はい。」

上司「だから、残業しなくても良い状態になるように一緒に頑張ろうよ」


部下「わかりました。」



実際はこのようにスムーズにはいかないかもしれません。
ただ、「新人」だから、相手が「未熟」だからという認識で
否定したり、説得しようとするのではなく、
相手がなぜそのように考えるのか?を考えながら、
辛抱強く接してゆく必要があると思います。


慣れるまでは苦しいかもしれませんが、
相手の視点に立って考えることができるようになれば、
仮に、一瞬怒りを覚えたとしても表出せずに
クールダウンする事ができるようになります。

自分の持っている「普通」や「当たり前」は
案外わかっていないものです。


仮にアンガーマネジメントの研修をするのであれば、
自分の「普通」「当たり前」を内省する事も
セットでやっていただけるとより効果的です。


今日の内容が上司と若手のギャップを埋める一助になれば幸いです。

「リーダー育成」と「組織変革」を        同時に行うプログラム

今日はご案内をさせていただきたいと思います。



弊社で展開している「プレイングマネージャー育成プログラム」は

おかげさまで導入いただいている企業様から

大変好評をいただいております。





理由は「教育」の目的を実現できるプログラムだからです。



教育研修は本来、対象者が受講する事で「意識変容」が起き、

職場で「行動変容」が起きる事、つまり、組織に何かしらの「良い変化」を

もたらすことを目的としております。




しかし、実際は「研修」を受けてもなかなか行動変容まで

たどり着かない事が多いのではないでしょうか?





それは、新たな行動を起こす動機付け、

チームにおける価値のある取り組み、

そして行動の継続を促進するための「設計」が

されていない事が大きな原因です。





どんなに研修が素晴らしくても

研修を一回二回受けたくらいでは、なかなか人は変容しません。





それは、私自身も数多くの「研修」を提供してきた事で嫌と言うほど

経験してきたのでよくわかります。






対象者が変容しないのは「知識やスキル」が

足りない事もあるかもしれませんが、




それよりも「変わる理由」つまり「意思」がない事、

また、変化に価値を感じる事、行動を継続できない事にあります。





したがって、これらの点を解決しない限り、

提供側としては、一応「やっている」という

満足は得られるかもしれませんが、




効果については、「参加者の責任だよね」ところで

落ち着いてしまうのではないでしょうか?






■なぜ「プレイングマネージャー育成プログラム」で変容が起きるのか?

❶モチベーションを高める事からスタートする


どんなに素晴らしい研修でも

受ける側が学びを活かす「モチベーション」がなければ、

全く役に立たない無駄な投資になります。



そして、そのモチベーションはどこから生まれるのかと言うと

弊社では参加者が自分の現状を客観視して、未来を

「希望」と「絶望」の両面から考察する事によって生まれると考えています。





簡単に言うと、将来を考えると

「現状維持ではまずい事になるな」(絶望)、

むしろ「変わる事で定年後も含めて良い人生にできるな」(希望)と

考えられるようになる事です。



これによって、「学び」を自分事として捉える事ができるようになります。




私たちは何もなければ、目の前の事に追われ、

あまり、将来の事をじっくり考える機会がありません。





 でも、機会を作って

改めて将来を考える事で



今の自分を俯瞰して捉えるこちができるようになります。



希望と絶望、天国と地獄とも言えますが、

上手くいったバラ色の未来と

避けたい最悪の未来を考える事は、

価値観を見直す機会にもなり、




非常に効果的です。




❷視点を変える仲間達との対話


研修の中でグループセッションを多く取り入れています。

これは同じ立場の仲間達と「自分の考え」や「感じたこと」を



ディスカッションすることで

自分とは違う視点を手に入れる事に意味があります。

特に同じような立場の人間が

自分とは違う視点を持っている事に気づくと

自己内省が始まり、

行動変容に繋がりやすくなります。




同じことを言われたとしても

上司から言われるのと

同僚が言うのでは「受け取り方」にも

違いが出るのです。





❸チームにおける「関係の質」を高める

「質の高いコミュニケーション」が設計されている。


さらに、弊社のプレイングマネージャー育成プログラムは、

集合研修の他、

リーダーがチーム内で変革を起こす対話が設計されています。





これは「業務のやり取り」ではなく、

「理想のチームとはどんなチームか?」

「現状とどのような違いがあるのか?」





「チームをどうしたいのか?」

「チームにどうかかわってゆきたいのか?」

「リーダーに望むことはどんな事か?」等を包み隠さず、

本音で話し合う事です。





多くのチームでは、

日常業務の打ち合わせ等は頻繁に行われていると思いますが、





「自分達」が「何処に向かっているのか?」

「それはなぜか?」というような

チーム運営上、本来は重要である対話が

なされていないのが実情ではないかと思います。





メンバーが何を考えていて、

どんな願望があり、悩みを持っているのか?を





共有しあう事はお互いをより深く理解し合い、

より強いつながりを創る上では

欠かせない事です。





また、チームメンバーがどんな関わり方をしているのか?を

表す「関係の質」は




長期的な成果に影響を及ぼす事や

風土改革に欠かせない事は組織学の大家である




「ダニエル・キム」氏によっても提唱されておりますし、

グーグルの実験でも立証されています。




❹リーダーの行動変容をサポートするプロコーチによるコーチング


モチベーションが上がり、

チームにおける改善活動を実りあるものにするためには




リーダーを孤独にせず、

チャレンジを継続させる為の応援が必要です。




行動を変え、新たな良い習慣を創るには

「継続」しながら、PDCAを回してゆく事が

重要です。






しかし、一人では継続が難しいのです。





それは、ダイエットやジョギングを始めても

中々長続きしないのと同じ理由で





その人に問題があるわけではなく、

私たち人間が共通に持っている本能に

原因があります。




個別コーチングでは主に本人が

「自覚できない成果」に重点を置き、



自発的な改善活動を促進できるようにサポートしていきます。



❺経験学習を加速する「内省」・・・グループコーチング


このプログラムでは、

リーダー同士が「内省しあう」メニューを

後半に用意しております。





自分が部下に関わる中で

「感情を乱された」出来事について話し、





同じリーダー仲間からのフィードバックや

質問のシャワーを受ける事で




自身を内省し、

新たな行動に繋げてゆく事を目的としています。




これは有名なヘンリーミンツバーグという

マネジメント学の研究者が発案したものから

インスパイアーされて作ったものです。




マネジメントの学びは

MBAではなく、現場の経験から学ぶことの方が

有効であるという信念のもと作られました。





主観で物事を捉える私たち人間は

「自分の見方、考え方」が「普通」であり、

他者も同じであると考えがちです。




しかし、当事者でなくなると

「冷静」に「客観的」に自分の心を振り返る事が出来ます。




自分と違う見方を手に入れる、

俯瞰して捉えられる能力を磨く事は、

リーダーの成長にとても有効に機能します。




このように弊社のプログラムは参加者が参加し続ける事で

無理なく「変容」してゆくように設計されています。





「現状」は「今までの行動」を積み重ねた結果が

表れているものです。




したがって、現状を変え、

新しい状況を創るには「行動」を変えるしかありませんし、

行動を続け、習慣にする必要があります。






弊社は有名な企業ではありませんので

依頼するには勇気が必要かもしれません。





しかし、参加者の成長に真剣に向き合う覚悟は

誰よりも持っているつもりです。





ご興味をお持ちいただけたら、

詳細をご紹介する機会を頂けると嬉しいです。

感想が言えない日本人

現在、私が提供している教育の大半は

研修とコーチングをサンドする形で半年間走るプログラムが

中心です。





研修と研修の合間に

個別コーチングを実施しているのですが、


研修を受けた方との最初のコーチングでお聞きするのは

研修の感想です。



これは、どんな感想を持ったのか?

その人なりにどう感じたのかを知ることが

コーチングを提供する上で大切な事だからです。






でも、大半の人が「感想」を話してはくれません。

どういうことかと言うと





どんな研修だったかを説明したり、

学んだことを説明するのです。





こういう「現象」に遭遇すると

私は改めて「危機感」を強く抱いてしまいます。



なぜ、感想が言えないのか?という事ですが、

私なりに推測すると




常に「正解を言う事」を求められて

長い事、過ごしてきたからではないかと感じています。





私の提供する研修は、もちろん

知識やスキルを学んでいただくという要素もありますが、

なぜなのか?何を?どのようにするのか?を

自分で「考える時間」を多く設定しています。





したがって、何かしら「感じる」事があるはずなのですが、

なかなか、「感想」は出てこない。

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自分の感想はないのか?

――――――――――――――――――――――――――――

では、本当に「感想」はないのか?

と言うとそうではないと思います。


「そんなの机上論だろ?」

「出来の良い部下の場合はそれで良いかもしれないけれど、

あいつには無理」

「そんなことしている時間はないよ」



など、心の中でつぶやいた事は少なからずあるはず。






でも、いざ感想を求められるとお門違いな返答をしてしまうのは

単に感想を言う「習慣」がないからだと思っています。





したがって、感想を言ってもらえるようになるには

 繰り返し、しつこく「感想」を

求めてゆく以外にないと思っています。



感想や考えを求められた時に

自動的に「正解」に直結するようになっていたシナプスを



感想を答える訓練を繰り返す事で

「自分の心」につなぎ直すという事です。



例えば、

「今言ってくれたのは、学んだことですね。感想を言って。感想を」

と言う風に食い下がるという事です。


こういう事を何回か繰り返すことで、

自分の抱いた感想や考えが





まず第一に頭に浮かぶようになり、

問題なく、抵抗なく、感想が言えるようになるはずです。




―――――――――――――――――――――――――――――

感想にこだわる理由

―――――――――――――――――――――――――――――


私がここまで「感想」を言ってもらう事に

こだわる理由は、





「感想を言う」事が人の感情に興味を持つことに

繋がるからです。




なぜなら、

「心に感じたことや思ったこと」を話すのが

「感想」ですから、





感想を言えるようになる事は

自分の「感情」や「思い」に興味が持てるようになる事でもあり、

結果として、他人の感情にも興味を持つことに繋がります。





そして、感情に興味を持てるようになったら、

他人との関わり方も変わってゆくはずだからです。


私たちは長い間、感情と仕事を切り離す事を求められてきました。




心を持った人間であるにも関わらず、

ロボットのように感情を軽視して働いてきました。




それでも成果が上がった時代は良かったかもしれませんが、

「物欲」に人を動かすパワーが薄れた今、

組織の中で「人を動かす」のは「感情」です。





人のモチベーションを上げたり、関係性を強くするのは

「心」に対するアプローチです。




だから、どういうタイミングでも良いです。




会議でも、ミーティングでも、仕事に対してでも。

感想を求める。






まずは、身近にある事に対し、

「感想」を言える環境を作っていただけると





業務のやりとりだけで人が動くような無機質な組織ではなく、

躍動感のある組織創りに繋がってゆくのではないでしょうか。



まずは自分からという事で

今回の記事を読んでどんな「感想」を持ったか?

心の声に聴いてみてください。


「上司の関わり方」が6割

1月から、

大手精密機械メーカーのプレイングマネージャー10名に対し、


「コーチング」を実施しています。




この人たちは、どちらかと言うと上司から


「評価が低かった」方々です。



上司から出された課題に対する、

アクションの実行をサポートしてゆくのですが、



一人一人と向き合い、じっくり話しを聞いてみると


「やっぱりな」と改めて気が付いた事があります。





それは、今の上司が改善して欲しいと認識している「問題」は


その人そのものの問題と言うよりも




「上司」がどう関わったか?という事によって


生まれるケースが多いという事です。





例えば、現在の上司に「もう少し、リーダーとして


主体的に行動をして欲しい」という課題を与えられた


あるプレイングマネージャーは





以前の部署では長きにわたり、


研究職のスペシャリストである上司に


言われた事を実行する事だけを求められてきました。





つまり、

「君の意見などいらない、私の指示通りにやってくれれば良い」と


いう事を言われ続けてきたという事です。



ご本人は、自分をあたかもモノであるかのように

扱われていると感じた事でしょう。

また、別のプレイングマネージャーは


ホウレンソウなど業務上必要なコミュニケーションが


弱いという評価を受けていますが、





以前の上司は自分の業務遂行に埋没し、全くと言ってよい程、


部下の仕事を「見ない」人であったので





上司に信感を抱き、

積極的にコミュニケーションをとろうという意識が


薄くなってしまったそうです。





大人ですから、全てが上司の責任とは言いませんが、

上司の部下に対する影響力は大きく、



関わり方次第では

今の問題は「発生」しなかったように感じます。

―――――――――――――――――――――

本当の問題は何処にあるのか?

―――――――――――――――――――――

今回10名の方々と接してみて


私が本当にその人自身に本質的な問題があると感じた人は


「4人」です。


10名中6名は過去現在における

上司との関係性に問題があると思っています。



つまり、6名は上司次第で今回の対象には


ならなかった可能性があるという事です。




これは本来、活かされるべき人間が活きていないという事になり、


会社としては「目には見えない」大きな損失です。



では、このようなミスマッチが起きないようにするには


どうしたら良いのでしょう?


ひとつは、「部下を持つ」べきでない人を

上司にしないという事です。




これは、


プレイヤーとして優秀であるからと言って

「優秀な上司」になるとは限らない

という認識に立つという事です。



たしかに「できる人」がリーダーとして育ってくれれば


それに越したことはないですが、



先ほど挙げた研究のスペシャリストである上司のように


どうしても「向かない人」も一定数いるのは事実です。




なのでそういう人は、


思い切って

その任からといてあげた方が

「本人」にも部下の為にも良いのです。



評価や給料にも関連する事なので


簡単な事にできる事ではないかもしれませんが、




利益と損害のバランスを考えれば、

その人を上司に置いておくよりも

プレイヤーに徹してもらう事の方が


はるかに「益」を産むのではないかと思います。



あともうひとつは、上司が


部下に対する「見方」を変える事だと


思っています。

これも言うのは簡単で

なかなかすぐには難しい事かもしれませんが、

自分より部下は「下」であるという認識を改めると

いう事です。



一般的に上司の方が「熟練度」が高いため、

どうしても「部下」に対しては

「上」から見がちになりますが、




「自分より下」と言う見方は

部下のモチベーションの低下や成長の鈍化に繋がります。



「下」ではなく、


ともに「チームの目的、目標を実現する」仲間なんだと

いう見方に変える事が出来れば、

「損」は「益」に大きく転換できるでしょう。




「人は理屈ではなく、感情で動く」という事は、


私の研修でも強調して伝えている事ではありますが、

関わり方次第で、 

やる気の向上やコミュニケーションの活性化、

関係性の向上に結び付くのであれば


結果として、上司である自分の仕事も楽になるはずです。




会社で働いている人がどんな関わり方をしているのか?が


パフォーマンスに大きく影響するという事は、





グーグルが証明し、


「心理的安全性」と言う言葉とともに

認知されるようになってきました。



であれば、


後はいつから、どこから始めるかです。



これは、ある意味会社の「体質改善」でもあるので


「変化」が見えるまではそこそこ時間がかかりますし、






進捗に対しては、一進一退があるはずです。





変化に抵抗する勢力に妨害を受けるかもしれません。

でも、これからは

今まで以上に「人」を活かせる企業が

生き残り、発展をしてゆくと私は信じています。




現状維持を続け、


じり貧になって後で後悔する前に


早めに手を打つ方が得策だと思うのですが・・・。

今日は、ある企業の例をとって


お話をしましたが、


同じような問題は

日本中至るところにある組織、会社にあると思っています。




良かったら、この機会に

ご自身の会社も「上司の適正」や




「上司の部下に対する関わり方」について


見つめ直して頂ければ幸いです。