日本人に合ったコーチングを創る②

「自信を分解する・・・

自己肯定感と自己効力感の育成から始めるコーチング」





前回は「日本人に合ったコーチング」を創るために

「自信」を育てる事から始める必要があるという

お話をしました。



今回はその続きになります。

まずは「自信」についてですが、

自信は「自分で獲得する」と言うのが

一般的な考えではないかと思います。

しかし、一方で自分で獲得する事が「難しい」人も

多く存在するのも事実です。




特に人の目を気にし、

「比較する、される」機会が多かった日本人には

その傾向が強いように感じます。





自信を育てる話の前に「自信とは何か?」を

明確に理解する必要がありますが、




辞書等によると

自信とは

「自分の能力・価値や自分の言行の正しさなどを

みずから信じること。また、その気持ち。」

とあります。





つまり、自信のない人とは、どう人なのか?と言うと

「自分に価値や能力がない」と思っており、



「自分の言葉を信じられない」人という事になります。





言い換えると、「自己肯定感」や「自己効力感」が

低い人達であると言えます。



「自己肯定感」とは「自分を存在価値がある人間」であると

感じる事であり、




「自己効力感」は「自分はやろうと思ったことがやれる」人で

あると感じる事です。

この二つが低いと「自信がない」と言う認識になるわけです。

したがって、対象となる相手の自信をつけるには

「自己肯定感」や「自己効力感」を高めてゆく事を

意識しながら、関わってゆく必要があります。

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■自己肯定感、自己効力感を育てるコーチング

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まず、今日は自己肯定感を高めるアプローチについて

考えたいと思います。

自己肯定感を高めるには「自分の存在」が他者に

良い影響を及ぼしている事を認識させる事が必要です。





その人の持つ長所や強みを「素直に」理解させることです。




良く研修で「自分の長所と強みを20個挙げて」という課題を

出すことがあるのですが





残念ながら、20個書ける方はほとんどいません。




これは長い間「謙虚と卑下」を混同してきた結果と

言っても良いのですが、




褒められることに「素直になれない」

私達の反応に原因があります。




私たちは褒められると良く

「大したことない」「そんなことない」と言う言葉を発し、





「いい気にならないよう」「調子に乗らないよう」

戒めてきました。





しかし、見方を変えると「自分を否定する」言葉を

を長い事自分に吐き続けてきたとも言えます。





結果、「自分は大したことない」と

刷り込ませてきたわけです。



本当はそんなはずはないのに

「自分に対する評価」が低くなってしまうのです。




私は「本心から自分を駄目だと思いたい」人は

いないと思っています。





なので、自己肯定感を育てるには

この呪縛から、解く必要があります。





では、具体的にどうしたら良いか?という事ですが、

経験上、有効なアプローチの一つに「過去への旅」があります。



具体的に言うと「自分史」を書くという事。



私はクライアントとコーチングを始める際に

「自分史」の交換からスタートします。





これには三つの狙いがあります。

一つ目は、私が先生ではないという認識を持ってもらう為であり、




自分の価値観がなぜ、どのように形成されたのかを

知ってもらう為です。




「自分史」は自分の偉大さや華やかな経歴だけを書くのではなく、

むしろ、逆にある「苦しみ」「悲しみ」「挫折」等を洗いざらい、

自分の記憶がある範囲で書き出すことが大切です。





なぜなら、「現在の価値観」が形成された原因となる

出来事が「そこには」あるからです。




出来事を「乗り越えるために」自分なりの解釈をして

私たちは生きてきました。




この解釈は、生きてゆく上で「自分を納得させる」為に

必要なものでしたが、




ある意味、「自己肯定感」「自己効力感」が

低い原因にもなっている可能性があります。





したがって「自分史」を交換する事で

コーチは上にいるのではなく、





同じように悩み、苦しみ生きてきた人間である事を

洗いざらい見てもらい、また「私の自分史」を手本にして




素直に自分を振り返ってもらう事で

自分の価値観が形成されたプロセスに

目を向けてもらうのです。





更に言うと

今はあなたを応援するために「横にいる」のだという事を



分かってもらい、




自分から「腹を割って付き合う覚悟があるよ」と言う

姿勢を見せる事で、相手が自分の事を

話しやすい環境を創るためです。




二つ目の狙いは、自分に少なからず自信があった時、

自信を持つことができた出来事、

経験を思い出してもらう為です。




大きな出来事でなくても

周囲の人から「受け取った言葉」の中に





自分の価値を表す「言葉」があるはずで

それを記憶の中から「発掘」し、




「埃を掃って」再び、光を当ててもらいます。




そうすると「そういえば、こんな言葉をもらったなぁ」

「こんな風に言われてたな」「このころはこうだったな」と




自分の価値を感じていた自分を思い出せるのです。



その上で改めて「長所と強み」を書き出してもらうと

今まで書けなかった、忘れていた自分の長所や強みに

目を向ける事が出来ます。





今、もしかしたら「自覚」できていなくても

過去に発揮した長所や強みは、

その人が本来持っているものであり、




これから、自分を取り戻す上で「資源」になります。





こうして、まずは自分の存在価値に目を向けてもらい、




「素直に」「正当に」自分を評価をしてもらう事から

スタートすると

「自己効力感」である「やろうと思ったことがやれる」に

シフトしやすくなります。

また、書き出した「長所」や「強み」は

いつでも、見れる状態にしておくとさらに良いと思います。

人の感情は一定ではありませんから、

いつしか。ダークサイドに落ちた時に

「戻れる場所」を作っておけば、

深く沈むことはなくなります。

そして、三つ目の狙いは、

いろんなことがあって、今まで生き抜いてきた自分を

認めてもらう為です。

今まで多くの人と「自分史」交換をいたしましたが、

平々凡々、平坦な人生を送ってきた人はおらず、

ギャップが大きいか小さいかは別として

山あり、谷ありの人生を皆潜り抜けて、

今日を迎えています。

このことは、当たり前のようで

実はすごい事なのです。

私の古い友人の中にも

若くして、自らの人生に幕を下ろした人たちがいます。

まずは、純粋に今日まで「がんばってきた自分」を

認める事から始めて欲しいと

いつも、クライアントには伝えています。

今日は「自己肯定感」を高める方法についてお話ししました。

「自己効力感」向上へのアプローチについては

また次回、お話ししたいと思います。

日本人に合ったコーチングを創る➀

コーチングは今から25年前にアメリカから齎された

コミュニケーションスキルです。




学校の先生や敏腕営業マン、リトルリーグの指導者など


コミュニケーションの達人達が持っている





良い要素を集めて、体系化したことで

出来上がったものです。





したがって、本来は目新しいものではなく、


既にあるもを寄せ集めたスキルであると


言っても良いと思います。





そんな、コーチングですが、実は万能ではなく、


コーチングに向いている人とそうでない人が居ます。






自らの意思で活路を開きたいという


目的意識と熱意のある人には機能しますが、





それ以外の人にはあまり効果がありません。



私はコーチングの魅力に惹かれて


今から約10年前にこの世界に入ったわけですが、






コーチングを知れば知るほど、


モヤモヤが募ってゆきました。





それは、コーチングに向いている人って


この日本に「どのくらいいるのだろうか?」と

いう事です。





私が思うに残念ながら、

そう多くはないと思っています。





参考になる指標として


アメリカのギャラップ社が調査した結果で





会社の中で熱意を持って仕事をする人の


比率を調べた調査があります。





その調査によると


アメリカが31%に対し、





日本はなんと6%しかいないという


残念な結果が出ています。






この結果にどの程度の信ぴょう性があるかは


わかりませんが、





昨今の経済発展力の違いを見れば、


そこそこ妥当性があると

言えるのではないかと思います。





コーチングは「熱意のある」人には


有効なスキルと言えるので






今の日本でコーチングが有効に機能するのは


6%の人達であると言えます。





そんな、6%の人にしか効果のないスキルなんて


要るのだろうか?と疑問に思ったわけですが、





コーチングが目指すものは


人が持つ可能性を無限に広げてゆく事であり、






一人一人が尊厳を持って生きれるようになる事です。





これは、私たち日本人にも


必ず必要な事であり、そんな世界を実現したい


と言う思いも持っています。






じゃあ、どうするのか?という事


ですが、ある日ふと





「日本人が持っているある特性」を


加味すれば良い事に気が付きました。





それは、「カスタマイズ能力」です。





日本人は太古の昔から、


外国から来た「文化」「風習」を





積極的に取り入れ、


自分達に合った形にカスタマイズしてきました。





したがって、「コーチング」も


「日本人向けにカスタマイズ」してゆけば


良いのです。





口で言うのは簡単で


具体的にどうやって


カスタマイズするか?という事ですが、





私にはひとつ

イメージしている事があります。





それは「自信」を育てる事から

スタートする事です。





なぜ、「自信」なのかと言うと


数々のビジネスマンに関わった結果、


感じたのが「自信の欠乏」だからです。





そして、熱意のある人を6%にとどめている

最大の理由である





「日本人の消極的気質」も


この「自信のなさ」から起因していると考えています。




私が認識している


日本人の消極的気質とは

大体以下のようなものです。





➀減点法主体の評価

学校教育の在り方が変わり、


最近は少し変わってきたと思いますが、





大人の社会は相も変わらず


減点評価が蔓延っていると言っても良いと思います。





つまり、どれだけミスをしないか?が


重要な指標なので

リスクを負うような行動を避け、







できるだけ「受け身」で対応するのが、

無難であると考える。






したがって、


自ら考え、決めて、発言したり、行動することを


避けるようになります。



さらに「出来たこと」や「成果」よりも


「できなかった事」「反省点」の方に





眼が生きがちで一般的な日本人の


自己肯定感、自己効力感が低い理由に


繋がっていると思います。


②横並びを好む


人と違う事を恐れ、同じである事に安心感を抱く。


多くの日本人は必要以上に






「他人の目」を気にする習性があります。

これが、発言や行動の自由を制限し、






度を過ぎると「同調圧力」を生みます。





集団の中で「浮く事」を恐れ、


他人の顔色を窺って


感情を害さないように振る舞います。






③自分の本心を言わない


これも「横並び」を好む性質に関連している事ですが、


「本音」と「建て前」が当たり前のように






日常のコミュニケーションに溢れ、


本心を語らない習慣が定着しています。





本心を言う事で相手に反感を買い、


「自分が嫌な思いをしたくない」


と言う思いが強いのだと思います。






その気がないのに「検討します」と答える習慣は


生産性を落とす最悪な習慣だと思っています。



④曖昧を好む


これは、「アクションプラン」について


お話しした時にも出てきたことですが、





決める事を避ける意識が強いようです。


常に「逃げ場」を残しておきたいという






思いから、

曖昧な表現を好むのではないかと感じています。



⑤「答え」を欲しがる



言い方を変えると「考える事」をさぼる気質と言っても


良いかもしれません。





長きにわたって、忠実性、勤勉性が

日本人の強みであったことの


弊害と言う言い方もできるかもしれませんが、




言われた通りの事をやるという事に

慣れて過ぎていて





自分で考える事に

ストレスを感じる方も多いようです。





これも長年染みついた事であるので


払しょくするのは並大抵の事ではありません。




他にもあると思いますが、思いつくまま5つの


気質を挙げてみました。




したがって、以上のような気質を


社会が形成している事により、





自信のない人が「量産」されているという風に


私は捉えています。




しかるに日本人向けのコーチングは、


「自信の育成」から始める必要があると言うのが


今見えている私の結論です。






例えば、自転車を一人で乗れるようになるために


「補助輪」をつけるようなものです。





本来は、自分で自転車が漕げ、

自分の意識で行先を決められる人


を対象とするのがコーチングなのですが、






自分で自転車を漕げない人が多いので


まず漕げるようにしてあげないと

いけないわけです。




自信がなければ熱意も持てないし、


自分で考え、決めて、責任を持って遂行するなど


出来ないからです。






では、自信はどのように育ててゆくのかですが、


これは次回以降でお話ししたいと思います。




本日もお読みいただきありがとうございました。

研修の生産性を高める方法④

「確認とフォローで継続を促進する」

研修でアクションプランを書いてもらい、





改善につなげていただくというのが


私の研修のお決まりになっています。



活きたアクションプランにする為のカギは


どれだけ「具体的、計測可能」なものにするか

という事なのですが




おかげさまで、最近の研修では、参加者の方々は


具体的計測可能を踏まえたアクションプランが


書けるようになってきました。




ただし、それによって新たな課題も


見えてきました。





それは、「計画を継続して実行する」という事。




本来は、決めた通りの内容を計画通り実行してくれれば、


その結果を踏まえて、


次への成長へのサイクルを回すことができます。





なぜなら、アクションが具体的であれば、


結果も具体的になり、


次への計画も立てやすくなるからです。





しかし、計画が具体的であったとしても


実行されるとは限らない。




それこそが、次の課題です。




これは、会社が研修、教育をどうとらえるか?


に関わってくる事なので




改善は簡単ではありませんが、





「研修」のための「研修」にしないため、


活きた研修にするために


真剣に考える必要があります。






では、アクションプランの実行継続に


導くためにはどうしたら良いかという事ですが、





結論から言うと


短いサイクルで行動を第三者が


サポートする仕掛けが必要だと思っています。






なぜなら、一人の力で行動を変えたり、


新たに新しい事を始める事は

容易ではないからです。






それは、2つの理由によります。



一つ目は以前お話しした通り、



私たちの脳は「変化を嫌う」傾向があり、





当事者は常に、


アクションを休んだり、やめたりする誘惑に


かられるからです。




また、一人で走ると


視野がどうしても狭くなり、目先の成果を上げる事に

意識を採られがちになります。







すると「できていない事」や「足りない事」の方に


自ずと目が行き、




心の中で「やる意味があるのか?」


「無駄なんじゃないか?」と疑心暗鬼になり、


いつの間にか、行動が止まってしまいます。





かくして、変化を嫌う「脳」の術中にはまってしまうわけです。



でも、「得たこと」や「わかった事」そして


「なぜそれを得れたのか?」を深堀する機会があると





例え、期待した成果がまだなかったとしても


やったことに「意味がある」事に気が付くことができます。




実は、このプロセスの中にあるプラス要因の積み重ねこそ、


最終的な大きな成果に繋がってゆくのです。





それに、「やれなかった」「できなかった」という振り返りでは


モチベーションが下がる一方ですし、


自己肯定感もどんどん低くなってゆきます。




次にもう一つの理由ですが、


それは「現場の抵抗」です。





新しく取り組みが増えるという事は


やらなくてはいけない事が増える事になり、




メンバーにとっては「負担」になります。




彼ら一人一人に「脳」があるので

いざ行動を始めても





続ける意味よりも


やめる理由を探す方が楽なので




隙あらば、多忙を理由に行動を止めようとします。




したがって、メンバーの行動に


今度はリーダーが「伴走」し、






意味や目的を繰り返し説き、


得たこと、わかった事、小さな成果に


目を向けさせてゆく必要があるのです。





これは想像以上にエネルギーを要するので、


孤独な闘いの中でこれを続けるのはかなりの


エネルギーが必要です。





なので、客観的な視点を持った伴走者が


居てくれた方が良いのです。


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伴走者はどういう人が良いのか?

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伴走者ですが、

本来はリーダーの上長がこの役割を担えることが望ましいのですが、


実際問題は難しいと思います。





なぜなら、上に行けば行くほど、多忙であり、部下の学びよりも


目先の成果に追われるケースが多く、

自分の考えで「早く」部下を動かしたくなるからです。




最悪は、上長判断によって活動が止まるような


ケースも出てきます。





したがって、伴走者は「利害関係のない第三者」である


「他部門の上長」が良いと思います。




同じ社内であっても「直接的な利害関係」がない事で


「客観視点を持ったメンター」のような位置づけで

関わる事が可能になります。






また、同じ社内にいて、内情がわかるからこその


利点もあります。




ただし、客観的な応援者であるためには


ある程度のコーチングスキル習得は


必要になります。






これについては、また機会を改めて詳しく


お話したいと思います。








ただ、役職が上がれば上がるほど

忙しくなるのは世の常で





現実問題として難しい場合は


思い切って、外部のサポートを活用しましょう。





外部のサポートとしては、


主にコンサルタント、コーチ、カウンセラーがあります。





違いは、




コンサルタントはアドバイス、解決策の提示が中心になります。


彼らの経験値で「答え」を与えてくれるわけです。




「経験の薄さから答えが見えない」新任リーダーには


ティーチング中心のサポートも良いかもしれません。





次にカウンセラーですが、


本来は、精神的に弱った人を


話をじっくり聞きながら、正常な状態に戻すことが


主な役割になりますので






アクションを前に進めるという意味では


適任ではないかもしれません。



最近は「キャリアカウンセラー」「産業カウンセラー」など


本来の意味とは違う役割にも「カウンセラー」という名称を使うので


ややこしいのですが、本来はメンタルの回復が主な役割です。




その点、コーチは、対話の中で相手の気づきを誘発し、


成長や成果に結び付けてもらうためのサポートですので


アクションプランのフォローと言う点においては

適任だと思います。






リーダーのキャリアや年齢、そして課題などを考慮して


お選びいただければよいと思います。





どういう人を伴走者に使うかは別として、


経験上わかっている事ですが、





利害関係のない第三者の方が「話しやすい」事もあり、


素直に思ったことを言える方が多いようです。




今日はここまで


研修の生産性を上げる為のサポートの必要性について


お話してきましたが、





学びを行動に繋げ、成果に繋げてゆきたいという風に


お考えでしたら、是非「第三者サポート」の導入を


ご検討いただきたいと思います。






短期的、コスト的には「単発研修」より割高になりますが、


中長期で見たら、安い投資になるはずです。

研修の生産性を高めるには③

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研修の生産性を高める方法④

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今日は「研修参加者の動機づけ」を

どのように高めるかについて考えてみたいと思います。

日本企業では階層に応じた研修の参加を

義務付けているところも多いと思いますが、



研修を「投資」と捉えた場合、

それに見合ったリターンがあるか?については

疑問を感じる事が多いのではないでしょうか?




その大きな要因となっているのが

参加者の受講に対する「動機の弱さ」です。

どういうことかと言いますと




参加者の多くは

「研修なんか参加している場合じゃないんだよ」

「忙しいのに・・・」

「仕事がしたいのに・・・」

「しょせんは机上論だろ?」

など



本心では、少なからず不満を抱えながらも

会社から言われて、仕方なく参加されている方が

多いという事です。



中には「高い意識」を持って何か吸収してやろうと

意欲的に参加される方もいるとは思いますが、

そういう方は、基本的には既に「良い上司」であり、

会社としては、そうでない方の方を変えたいという

思いの方が強いはずです。

研修会社も参加者の動機が低い事は

前提として、コンテンツに様々な工夫を凝らし、




参加者を飽きさない仕掛けや

「参加して良かった」と思ってもらえるような

内容のものを用意して研修に臨んでいます。




その結果、最初は嫌だったけれど、参加してみたら、

「意外と良かった」という感想を

持たれる方も多いのですが、




研修が良かったからと言って

それが現場でその後「活きる」のか?と言うと

残念ながら、そうはなりません。





それは、新しい試みを職場で行うには

相手方である「部下」の協力がないとうまくいかないからです。




例えば、よくあるのが研修から帰ってきた上司が

変った行動をとると




部下たちはそれを「好意的」に捉えるよりも

けげんな表情や戸惑いを見せる事も




多いと思いますし、場合によっては

冷たい反応や抵抗を見せる場合もあります。

そうすると

「あれっ?研修の時はうまくいったんだけれど・・・」

「話が違うじゃないじゃないか!!」

と意気消沈して

あっという間に以前の状態に戻ってしまうのです。





なので、学びを職場で活かすには

それ相当の決意や思いがないと

難しいという事です。





一般的な研修では参加者に「HOW TO」を

教える事が多いと思いまが、





研修の生産性を上げる為に

まず考えなくてはいけない事は、



参加者のマインドセット、

つまり「学ぶ動機付け」です。




それは結論から言うと参加者が

研修での「学び」を




「自分事」として考えられるように

導けるかどうか?

に尽きると思います。





私たちは、日常において

目の前の事に追われる日々を送っています。




そして、気が付くと

歳をとって、社会人としての終わりが

段々近づいてくる。



でも、リアリティを持って、

「終わり」に備え、準備している方は「稀」です。




なぜなら、「ゆでガエル」の話にあるように




変化ははっきりとわかるようには起こらず、

非常に緩やかに深層から進むからです。





基本的に変化を嫌う私達には

ある意味強制的に意識を常に未来に向け、




リアリティを持って

備えるしか、変化に対応する事が出来ません。





まだ先の事だと思っているうちに

手遅れになってしまうのです。




だから、日常の連続性が断絶する研修は

絶好の機会であり、「変化」を意識し、





「変化」に備える必要を感じてもらえる

良い機会なのです。




では、どのように目を向けさせ、変化を促進するのか?

という事ですが、




私の研修では、

❶世の中の未来予測

❷自身のありたい姿(理想像)

❸会社を卒業する時の理想の状態

❹ありたい姿、卒業時の理想の状態と「現状のギャップ」=問題

❺最悪の未来(会社を卒業する時に避けたい未来)

❻課題とアクションプラン

❼実行フォロー(個別コーチング)

❽アクションの振り返り、内省

❾リプランニング

❿実行


と言う流れを6ヶ月プログラムとして作って、

自分の未来に向かっての行動を継続して行う仕掛けを

提供しております。

研修に参加した人が

職場で変化を起こすためには


ある意味孤独な闘いを強いられる事になりますが、




「プロコーチ」による個別コーチングが

セットされている事で





参加者を勇気づけ、行動を継続する事に

対し、有効に機能しています。

参加者にとって

大切な事は、改善を継続する中で





成果に繋げてゆくという事はもちろんの事




「自身の付加価値」向上にもつながります。




会社に従属的に身を任せる時代は

既に終わっており、



ビジネスマンは

仕事を通じて、自分の付加価値を上げるという

視点に立って、会社と付き合う時代になってきています。





私は参加者にプレイングマネージャーという

立場をフル活用し、自分の付加価値を上げて欲しいと

いつも伝えております。



自分の未来に今が繋がると言う風に

リアリティを持って考えられれば、

参加者の研修に臨む姿勢も

変わるはずだからです。



もし、研修の在り方、進め方に疑問をお持ちでしたら

是非一度ご相談いただければと思います。





必ずやお役に立てると思います。

研修の生産性を覚醒させるには②

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研修の生産性を高める方法②

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今日は研修の生産性を高める方法の②として



「フォーカスしたアクションプランを作る」について

お話ししたいと思います。



研修による変容が起こらない、続かない理由の

一つはアクションプランの作り方が甘い事です。



どういうことかと言いますと、



アクションプランが曖昧で抽象的な表現にあふれた内容に

なっていると




目的や実行を図る基準がないままスタートすることに

なるのでアクションが続かなくなってしまうのです。




例えばアクションプランに

「チームメンバー全員で定期的にミーティングを行い、

話し合う」という内容を書いたとします。



この場合だと

目的は何か?各回のゴールは何か?いつやるのか?



定期的とは?どのくらい時間かけるのか?手段は?が

明確ではありません。




よく考えればわかる事なのですが、実際私の研修に参加した

プレイングマネージャー達の多くは



こういう内容のアクションプランを作るケースが多いのです。



仮にこの状態で「では、みなさん頑張りましょう!!」と

アクションを進めるとどうなるかと言うと




最初の何回かは実行できたとしても

二回三回と回を重ねてゆくうちに

内容が薄くなります。



なぜなら、「目的」や「やる事」が不明確だからです。




すると、参加者の中で徐々に「ミーティングの優先度」は

下がって行き、




「忙しい」「急用」など理由を挙げて

参加しない者が出てきて、






いつの間にか「忙しければ、他に用があれば、

参加しなくても良い」という

不文律が出来上がります。





かくして、人数が揃わない状態が続いてゆき、

やがて形骸化し、





ついには、全員が業務多忙を理由に

開催されなくなってしまうのです。





なので、アクションプランを組むときには、

このような項目を明確にしておく必要があります。




さら言うと「アクションプランの記入欄を

項目ごとに細かく設定したほうが


より「具体化」のイメージは

つきやすいでしょう。

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■明確化を避ける理由

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ただ、このような明確化の意図と重要性を
事前に説明したとして




研修参加者のアクションプランは劇的に変わるのか?

と言うと



残念ながら、

それでも変わらない方も少なからずいらっしゃいます。




例えば、アクションプランの記入欄に



「いつ?」を記入する欄があったとしても

「今期中」とか「12月中旬までに」という

表現をするのです。




これでは、いつから着手するのか?が曖昧で

だらだらスタートが後ろに伸びてゆく
可能性が高くなります。




なぜ、具体的な内容を!!という

説明をされても




アクションプランの内容は変わらないのでしょう?



それは、具体的に決めるという経験値が低いのと


さらに決定的なのは「ある心理」が働く事です。





ある心理とは「明確にするとやらなくてはならないから、

約束したくない」と言う心理です。



アクションプランは実際に実行し、

変化を起こす事が目的であるはずなのですが、




私たちは「本能的」に変化を避ける傾向があります。



これは私達の「脳」に原因があると考えられています。



変わるということは、

未知の領域に一歩を踏み出すことになり、






踏み出しても期待する変化が起こらなかったり、

現状よりも悪い状態に陥る可能性もあるため、




脳はリスクを避けて、

なるべく現状を維持しようとするわけです。





「ダイエット」や健康増進のための取り組み、

例えば「ジョギング」が続かないのはこのためです。




研修に当てはめて考えると

アクションを明確にしたら、






「絶対新しい行動(変化)をしなくてはならない」ので

リスクを考えると



行動しなくても良い可能性を担保しておきたいのです。




特に私たち日本人は

曖昧な表現をしたがる傾向が強いようで、





組織の意思決定スピードが落ちる要因にもなっています。


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■目的と価値、恩恵を明確にし、

想定できる障害を一歩一歩クリアして行く

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では、変化を嫌う習性がある私達が

どうしたら、新たな行動をし続けてゆけるのか?

という事ですが、


実行することを鮮明にイメージできるまで

具体化にすることは当然の事として





「リスク」よりも「目的」や実現の「価値」「恩恵」に

目を向けてゆく事、





そして、目的実現に至るまでの「障害」を

あらかじめ想定して





「心」と「対応策」を準備しておく事だと思います。





例えば、「メンバーを毎週金曜日16時に集めて

1時間ミーティングをする」でしたら、





当初は「強制感や義務感からくる態度」で

メンバーが臨んでくることは




容易に予想されますし、

また、余計な事を始めようとしているのか?という





「警戒心」「抵抗感」を露にする人もいるかもしれません。




また、「意見を言わない」「とりあえず、賛成する」など

消極的な姿勢も想定されるかもしれませんし、




チームの状況によっては、参加者の誰かが

ミーティングの開催を

「なし崩し」にしようとする事さえあるかもしれません。


でも「障害」を予測できれば、

それに備えて想定問答集のようなものを

準備しておくこともできます。




どうしたら良いか?自分でわからなければ、

仲間や上長に相談して対策を練ることもできるわけです。




ただし、口で言うのは簡単で

こういう障害に立ち向かってゆくには





覚悟と思い、そしてエネルギーが必要になります。




今の状態を作ったのもある「リーダーである自分」であると

覚悟を決めて、進んで行かなくてはなりません。





それでも、一人ぼっちの孤独な闘いは辛く、

長く続けるのは難しいと思います。

なので、一番理想的なのは

上長がサポートしてあげる事です。



「一緒に頑張ってゆこうよ」という伴走する

姿勢を見せる事です。




間違っても、「上から」できていない事を指摘したり、

厳しい事を言うだけの関わり方は




いたずらにプレイングマネージャーを

追い込む結果になってしまうので

絶対に避けるべきです。




上長とプレイングマネージャがうまくいっていない、

信頼関係が弱い場合もあると思いますが、




そういう場合は「外部のサポート」を

活用することをお勧めします。




私の経験上、「利害」のない第三者の方が、

本心を話しやすく、




苦しい胸の内や悩みを話すことによって

元気とやる気が回復した例は少なくありません。




心当たりがありましたら、研修と合わせて

ご相談いただければと思います。




今日は、

研修の生産性を上げるために

フォーカスしたアクションプランを作る



についてお話ししました。




次回は「研修参加者の動機」について

考えてみたいと思います。

研修の生産性を高めるには➀

研修において「学び」を得る事は重要ですが、

学ぶだけでは、その後の成果に繋がりません。

学びを実践の場で活かすことによって、

初めて研修に意味が生まれます。




そんなことは言われなくても

「百も承知だよ」と思うかもしれませんが、



実際には「研修の時は良かったんだけど、

職場に帰ったら、



研修前の状態に戻ってしまった」と言う話を

良く耳にします。


そのくらい研修の効果を持続させるというのは

難しい事なのです。




また、学びや気づきを行動に移してもらう為に

仕掛けを作れば良いじゃないかという事で

アクションプランを講座に組みこんだりしますが




それでも、残念ながら、大半はいつの間にか

なし崩しになってゆくケースが圧倒的に多いようです。





なぜ、成果を生まない研修になってしまうのか?と言うと

主に下記のような理由が考えられます。


➀アウトプットの場がない


②アクションがフォーカスされていない


③参加者にとって学ぶ動機が弱い


④確認とフォローがない


他にも

・「研修の目的」が明確でない

・役職は一緒でも抱えている課題レベルが

参加者によって異なっている為コンテンツのフィット感が薄い


・オリンピックのように

「参加する事に意義がある」という認識を参加者、

提供側が持っている

・・・・・等がありますが



今回は先に挙げた4つについて

順を追って考えてゆきたいと思います。




まず今日は「アウトプットの場がない」

という事についてお話しします。



私たちは、研修やセミナーに参加したり、本を読んだりしながら、

知識を「インプット」しています。


ただし、「インプット」だけだと

徐々に忘れてしまうのです。




なぜかと言うと人の記憶は、

1時間で半分、1日で約7割近くも忘れるようにできています。



それは、脳の中にある「海馬」という部分が、忘れるという事に

大きな役割を果たしているからです。



海馬の働きを簡単に言ってしまえば、

「記憶の整理をする」こと。




私達は毎日膨大な量の情報を受け取っていますが、

それを全て処理し、記憶することはできません。



なぜなら、キャパオーバーになってしまうからです。




そこで海馬が 「この情報は絶対に忘れないようにしよう」

「これは忘れても生活にも支障がないから、デリートしよう」



といったように、情報を「残す」「捨てる」を決めているのです。




「三日前の夕食に食べたものを思い出して」と言われても

なかなか思い出せないのはそういう理由があるからです。




したがって、学びを忘れないようにするには

「この情報は大切である」と海馬に認識させることが大切です。




では、どうやって海馬に認識させるのか?

ということですが、



おすすめは「アウトプット」することです。



つまり、人に内容を話したり、説明したり、

何かに書いたりすることです。




特に「話す、説明する」は

「自分の耳」で自分が話した内容を




聴く事になるので理解が深まり、

学びを定着させるには最適です。




同じ内容のプレゼンテーションを

何回もこなすとうまくなってゆくのは

そういう理由があるからです。




さらに、アウトプットの機会を事前に予定しておくと

効果が大きくなります。




例えば、授業で「今日は全員にあてるぞ!!」と

先生が言ってから、授業を行うと

生徒はいつもより授業に集中して、

先生の話を聴こうとします。




なので、私の研修においてアクションプランの一項目を、

「誰かに内容を15分で話す」にしているのは、




参加者の脳に研修の学びを留めて

「活きた知識」にする為です。




これは「研修」だけでなく、

日々のOJTの中にも取り入れることができます。




何か新人に説明をした時に「わかった?」「はい」と言う

「やりとり」で終わりにするのではなく、




一旦説明した後に

「じゃあ、何がわかったのか教えて」

というリクエストを新人に投げてみてください。




最初は意表を突かれたような

「えっ?」と言う反応をしますが、




繰り返し、問い直しを続けてゆくと




新人は、「また、説明しろって言われるな」と考え、

説明できるようになるまで理解しょうとします。





また、それに伴い、新人から出てくる

「質問のレベル」もどんどん向上してゆきます。



私がファミレスや中古のゴルフショップ時代に

部下育成やアルバイト育成でよく使った「手」です。




最初は、部下を試すような感じがして

抵抗を感じるかもしれませんが、




成長スピードは圧倒的に早くなりますので

やる価値があります。




今日は、研修での学びを

「意味あるものにする」ための第一歩として

「アウトプットをさせる事」であるというお話をしました。





これは、すぐ現場でできる事なので、

ぜひ実践していただけたら幸いです。

次回は研修の生産性を高める方法②として

「アクションをフォーカスする」を

おおくりいたします。

部下の主体性を覚醒させるには⑥

プレイングマネージャー「虎の巻」

今日は「自信の能動的獲得と受動的獲得」について

お話ししたいと思います。


これまで部下の自信を育むことが

主体性の覚醒に繋がるというお話をしてきました。






人の成長とはまさに

自信を増やしてゆく事に他なりません。

では、その自信はどのように獲得されるのかという事ですが、




まず、イメージできるのは、

何かしら目標を達成できた時ではないかと思います。






努力が実り、成果に繋がった瞬間に

私たちは、「自信」を感じる事が出来ます。




私は、これを自信の「能動的獲得」と呼んでいます。


日々そういう出来事があれば、

放っておいても勝手に自信は積み重なってゆくのでしょうが、

実際にはそうはいきません。





なぜなら、上手くいく事よりもいかない事の方が多いのが

この世の常だからです。





なので、私たちが部下を育てる上で

成果が表れる場面にだけ「注目」していると

なかなか「自信」を獲得してもらう場面は訪れないわけです。






そこで、今日一番お伝えしたい事である「受動的獲得」が

重要になってきます。



自信の「受動的獲得」とは「人からのメッセージ」で

獲得する自信の事を意味しています。




簡単に言えば、人から「褒められる」「称賛される」「承認される」

事によって得られる自信です。





これは、部下自身も何気ないひらめきや

ちょっとした発見によって





行動に移すことも多く、本人も自覚しにくい場合もありますので

上司であるプレイングマネージャーの観察力が問われます。





どういう所を見るのか?どういうタイミングなのか?は

慣れが必要なので、しばらくは意識的に

「訓練」する必要があります。



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■自信の受動的獲得はなぜ有効なのか?

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訓練してまで、「褒める」「称賛される」「承認する」等の

メッセージを送る意味は、

日常の中で、観察の仕方がわかると

部下がプチ成長している場面に

たくさん遭遇することができるからです。





「説明の仕方を変えたな」「資料の整理、工夫したんだな」

「いつもより良い笑顔で接客できていたな」など




ちょっとした成長を感じたり、

いつもと違う改善が見られたり

部下の何気ない変化に気が付くことがあるはずです。






それを「そのまま」伝える事で

上司は、自分を見てくれている、認めてくれる

と思うようになり、



仕事に対するモチベーションが上がるのと同時に

「自信」を持つことができます。





元々私たち人間には、「自分を見て欲しい」

「気にして欲しい」という




帰属認知欲求と言うものがあり、

これが、信頼関係の構築や、

成長を加速する要因に繋がるわけですが、





これを十分理解した上で「部下育成」に活かせば、

部下は、上を向いて進み続ける事が出来ます。


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■でも褒めるのは難しい?

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「いざ、褒めようと思うとなかなかうまくいかないんですよね」

私の研修に参加したプレイングマネージャーから

良く出てくる「悩み」です。





誰しも「褒められれば」うれしいものですが、

無理して「褒める」必要はありません。


「褒めなくては」と思うと「なんて言おうか?」と

伝える言葉を考えてしまったり、



表情や言い方が「不自然」になってしまう事もあり、

度が過ぎると「逆効果」になってしまう場合もあります。






なので、「感じたまま」をそのまま伝えれば良いのです。





先ほどの例で言えば、

「説明の仕方変えたんだね」

「資料整理工夫したんだね」

「今日笑顔良かったよ」

みたいな感じです。






そして、あともう一つ大切な事は

気が付いたら「すぐに伝える」という事。







なぜなら、

後で言おうと思うと忘れてしまう事が多いのと

本人も自覚がなくなってしまうからです。





なので、鮮度管理も

部下を承認する事においてとても大切なので

気に留めていただきたいと思います。






今日は、「自信の能動的獲得」と「受動的獲得」について

お話ししました。



忙しいプレイングマネージャー育成の一助となれば幸いです。

部下の主体性を覚醒させるには⑤

~プレイングマネージャーの育成法~

今日は自信の「揮発性と積立」についてです。



一言で言うと過去の自信は放っておくと消え、

積み立てていかないと減る一方であるという事です。





何か、自分が期待した通りの成果が上がった時、

私たちは「自信」を感じる事が出来ます。





ただし、時間経過とともにその自信は、

過去のものになって行きます。




だからこそ、自信が減らないよう、

増えてゆくように積み立てをしてゆく必要があります。





これに気が付いたのは、

ある社労士さんのコーチをした時です。





その方は、「自分に自信がないので、自信をつけたい」というのが

コーチングのテーマでした。






ただ、経歴を聴くと

子供のころから、受験では第一志望に受かり、





就職においても「希望通り」大手航空会社のCAになり、

さらに、一念発起してチャレンジした

「社労士」の試験にも一発で合格。






「それでなんで自信がないの?うそでしょ‼」と

突っ込みたくなったのですが、





自信は主観であり、今はどうか?が基準になるので

「なぜ、そう思うのか?」からセッションを始めてゆきました。






そんな中、そのクライアントが言っていたのは、

試験の類は「取り組むべき事」が明確で




後は、実行すればよかったけれど

今は「何をどうして良いのかわからない」というのです。





ここも以前お伝えした「錯誤」があるのですが、

人は「曖昧」だったり、「不明確」な状態だと「不安」になり、

その状態を「自信がない」と認識しがちです。





なのでまず、「自信とは何か?」「今の状態はどうか?」という事を

対話の中で明確にして行きながら、この錯誤に気づいてもらい、

自信の積み立てに取り組んでゆきました。






具体的には、「望んでいる状態」になるまでの

プロセスを仮説として決めて、





取り組みを具体的にし、その進捗を追いながら、

一歩一歩やった事と気づき、得た事を整理してゆく事です。





こういう事をセッションごとに繰り返して行った結果、

半年経過した頃には





そのクライアントは

自分の行動に手応えを感じられるようになりました。



それに伴い、コーチングのテーマは「自信をつける」から

一歩前進した「自分のスタイルを確立する」に変ったのです。






自信を積み立ててゆくとはこういう事で

取り組みを明確にし、行動の意味をプラス化してゆく事なのです。






私たちが日々行っている行動は、成果に繋がらない事も多く、

それだけ見ていると「自己否定」や「自信喪失」しがちです。





でも、仮説を修正しながら、取り組みを続けてゆく事で

期待以上の成果に繋がる事もあります。





大切なのは、行動を止めない事。





プレイングマネージャーが部下に接する時も

やる事を一緒になって明確にしてあげ、





すぐには成果に繋がらないようなことも

取り組みの中に意味を見出し、





一緒に確認をして上げ続ける事で

部下は、「自信」を獲得できます。





「自信の揮発性と積立」。





「部下の自信を育む事」は

今やプレイングマネージャーにとって




最も「重要な役割」と言っても良いかもしれません。




今日は自信の「揮発性と積立」についてお話ししました。





次回は今日の内容に関連した

「自信の能動的獲得と受動的獲得」について

お話ししたいと思います。

部下の主体性を覚醒させるには④

今日は「自信は部分的で良い」についてお話します。



部分的で良いというのは「結果」のみに囚われることなく、

プロセスで得たものを大切にしようという意味です。




この話をしたいと思ったのは、

研修等を通じて、若い世代の人達に接してきた中で


上手くいかなかった、たったひとつの出来事で

自分を全否定するような思考を持った方が

多いと感じたからです。



何か一つ上手くいかなかったとしても

それイコール、その人の存在そのものを否定するものではないし、

自信を失うべきではありません。



でも、何かあるとすぐ自分を駄目であると思ったり、

自信を失うという人が多く、


これが、成長を鈍化させるひとつの要因であると

私は考えています。


永い間、肯定されるよりも

否定をされる経験が多かった結果によって

このような状況を招いているのではないかと思いますが、




人材の育成を考える上で「この問題」について真剣に考えないと

どんなに素晴らしい教育を提供しても

付け焼刃で終わってしまいます。




なぜなら、チャレンジに対し、上手くいかない事の方が圧倒的に多く、

それでも行動を止めない事が大切だからです。



では、何から考えるか?という事ですが、

まずは、部下の出来た事、気づいた事に上司が目を向ける、

そして、部下の目を向けさせることが大切です。




仮に望んだ成果がなかったとしても

行動した結果、得たことが必ずあるはずです。



私たちは、ついつい上手くいかなかった要因や課題に意識を向け、

ダメだった理由を考え、「反省」をしようとしますが、



こればかりですと何より、モチベーションが上がりませんし、

「自信」の獲得に繋がりません。



例え結果が出なかったとしても行動の中で

気づいた事、わかった事を「意味がある事である」と取り上げ、

積み上げてゆけば

結果以外にも意味を見出すことができ、

「部分的な自信」を獲得してゆく事が出来ます。



 

私たちは、

ダメなところを取り上げ、「反省」するのは、

得意ですが、肯定的に物事を捉えてゆくのは

比較的苦手です。




でも、今私たちに必要なのは「活力」であり、

閉塞感をぶち壊すエネルギーです。




このエネルギーを生み出すためにも

一人一人が「部分的な自信」を積み重ねてゆく事は

とても重要ではないでしょうか?




何事も一所懸命行動すれば

成果に繋がるシンプルな時代ではなくなってきました。

 そろそろ、目先の結果だけに囚われる習慣を手放し、

中長期に物事を考えられる国にしてゆきたいものです。




そのためには、まず日常に「肯定の言葉」を溢れさせてゆく事です。



そして、まず手をかけるべきは「自分」から。



リーダー自らが自身の事を肯定的に捉えるように

日々意識してゆく事です。




そうすれば、自分も効果を実感できると思いますし、

どうやって。部下を肯定すれば良いかがわかってゆきます。




今日は「自信は部分的で良い」についてお話ししました。




次回は自信の「揮発性と積み立て」について

お話ししたいと思います。

部下の主体性を覚醒させるには③

今日は「自信の特性」についてお話します。

それは、特性がわかっていないと

部下育成についても取り組むべきことが

理解できないからです。


私が考える「特性」としては以下の通り4つが挙げられます。

❶自信は「主観」である

❷自信は部分的で良い

❸揮発性と積み立て

❹能動的獲得と受動的獲得

まず❶の「自信は主観である」ですが、

これは読んで字のごとく、

自信は「自分がどう思うか?」によって

決まると言う事です。




これは前回の「成長実感」にも関係する事なのですが、

同じ状況にあったとしても




人によって、受け取り方が違い、

出来事や物事のポジティブな一面を見る習慣があるか




それとも、ない物や得られなかった事など

ネガティブな一面を見るのかによって

「自信」の有無が変わってくるという事です。



どうしても「得られなかった事」もっと言うと

「失敗」から学ぶという意識が強い私達ですが




こういう意識が「自己否定」に繋がり、

「自信がない」と感じる状況にも繋がっているという事を

私たちは真剣に考える必要があります。






そして更に言うと、上手くいかなかった要因は「分析」をしますが、

上手くいった事については、それほど「分析」をしません。




実は上手くいかなかった事よりも

上手くいった事の方に「成長の糧」がたくさんありますし、




何よりも自分が成し遂げた事に対する「根拠」を曖昧にせず、

財産や武器にすることができます。





これはスポーツの世界でもよく見られることで

欧米のトップコーチは、




選手のポジティブな面に目を向けさせ、

なぜ上手くいったのか?できたのか?を

認識、理解させて行くアプローチをします。






私が好きなTV番組で

NHKの「奇跡のレッスン」という番組があるのですが、




欧米のトップコーチが日本の中学生達に

「1週間」コーチをする事で

どんな変化があるのか?を観る内容になっています。



ここでも共通しているのは失敗を指摘して改善するのではなく、




「できた事」「わかった事」「うまくできるようになった事」に

目を向けさせるアプローチをすることです。




例えば、良いプレイがあった時にプレイを止めて、

「今の良かったよ。なんでそうしようとしたの?」と




選手に問いかけるのです。

そうすると選手は「自分の選択」について考え、




自分なりの「答え」を導き出します。



コーチがこういう働きかけを繰り返してゆく事で

選手たちは

自分で出した「答え」の集合体が自信やスキルとなり、

積もり積もってゆくので




同じような場面になった時にいつでも引き出す事ができ、

有効な「再現性のある」プレイ機会が

増えるという事です。





私達は「できる」「わかる」「うまくできるようになる」事に

よって成長を認識できるわけですが、




このように自分の意識を良い所に向けさせ、

自信を育んでゆこうとするのがトップコーチの考え方です。





これは「仕事」にも当てはまる事で

上司も部下も



失敗よりも「できた事」「わかった事」

「うまくできるようになった事」に

に目を向ける習慣が出来れば、




部下は自分を成長させるためのアプローチを

身に付ける事が出来ます。




しかし、現実問題として

「仕事」に前向きになれず、




ただ給料をもらうために仕方なくする事であると部下が考えているとしたら、




「否定」からの改善という従来の「育成」によって

もたらされた結果であると言えるかもしれません。





したがって、私たちが考えるべきことは

私たち自身が自分の行動も含めて、




ポジティブな側面に目を向けてゆく事、

そして、部下や後輩にも目を向けさせてゆく事です。




そのためには、まずリーダー達が

出来ていないことを指摘してすぐ行動を変えさせたいという誘惑と




目先の「対処的成果」を手放す勇気を持つ必要があります。




これは、私たち全員が持っていると言っても良い程

強烈な欲求であり、「習慣」ですが、



結果として「自信喪失」に繋がり、

誰も幸せにしていないという事を

強く認識する必要があります。



今日は「自信は主観」であるという話の中で

「否定からの改善」よりも

ポジティブな面に目を向けてゆくというお話をしました。



次回は、「自信は部分的で良い」についてお話ししたいと思います。