チームに「心理的安全性」を築いたダルビッシュ有

WBC日本代表も順調に勝利を重ね、いよいよ準々決勝でイタリアと対戦します。


ここまでチームは危なげなく、勝利を挙げてきましたが、今の段階でMVPを一人挙げるとしたら、誰にしますか?

大谷翔平選手?ラーズ・ヌートバー選手?
私は断然「ダルビッシュ有選手」を押します。


なぜなら、「ダルビッシュ選手」はチームメイトが本来の実力を発揮する「土壌」を意識的に作り上げ、チームとして相乗効果を発揮するレベルに引き上げたからです。

その土壌とは何かというと「心理的安全性」です。


心理的安全性はグーグルが4年以上の歳月をかけて「パフォーマンスの高いチーム」の特長を調べ、
たどり着いた結論です。


心理的安全性は自分を飾ったり、偽ったりする必要がなく、素の自分を出せる心理状態を言い、チームに参加している一人一人がこのように感じられるチームはパフォーマンスが高いという事です。


ダルビッシュ選手の取った行動は、報道からでしかわかりませんが、そこから、漏れ伝わってくる情報を見ていると彼がいかにチームの中に心理的安全性を創ろうとし、そこにエネルギーを割いていたかがわかります。


例えば、いち早くキャンプの段階からチームに参加したのは、「メジャー組」と日本のチームに所属
する選手の垣根を早くとる為でした。


また、「宇田川選手」と言うオリックスバファローズに所属する若い投手が代表チームの中で萎縮している様子を察知すると「宇田川会」と言う彼を主役にした食事会を開き、チームの中に溶け込ませる事に成功しました。


その他にも自分の方から、選手たちに声をかけて垣根を取って行ったのです。


さらに、従来の代表選手たちが持っていた「国を背負うような」重圧から、選手たちを解放するために思うような結果が出ていない選手たちに向かって「野球なんで気にしても仕方ない。人生の方が大事ですから。野球くらいで落ち込む必要ない」と言うコメントを発し、野球を純粋に楽しんで欲しいというメッセージを伝えています。


チームにおける自分の役割を良く理解した上で自分がどう関わるべきかを考えているのがよくわかります。


■これからのリーダーに求められるもの

ダルビッシュ選手がとっている行動や彼が発する言動はまさしく「これからのリーダーに期待されている事」です。


チームに心理的安全性を創り、メンバーが持っている力を発揮しやすいような働きかけをしてゆく。


責任でがんじがらめに縛り、プレッシャーや恐怖心を煽って、部下を動かそうとするのではなく、
いかにリラックスさせて、部下の持っている能力を引き出すか?


現代が「答えのないと言われる時代」だからこそ、最も大切な事なのではないでしょうか?

■「対話」から始める


では、「心理的安全性」を築く為に何から始めるか?という事ですが、これもダルビッシュ選手が行ったように一人一人、部下と対話を始めてゆく事だと思います。

そして対話の中で最も大切なのは「話す」事より「聴く」事です。

部下が不安に思っている事、悩んでいる事は何か?何に詰まっているのか?どんな事を考えているのか?を関心を持って、知ろうとする事が最も大切です。

で、この場合、注意すべき事は部下が悩んでいたとしても上司が自分の考えで「納得させよう」「説得しよう」としない事。

部下が悩みを持っていたり、何か「行き詰っている」のがわかるとついついアドバイスをしたくなるものですが、ここは「グッ」とこらえてできるだけ、自己解決できるように「聴き役」に徹してください。


アドバイスが欲しければ、部下から「どうしたら良いでしょうか?」と言ってきます。

大切なのは、「聴きたい時に聴ける」、「言いたい時に意見が言える」環境を創る事。

まずは、そこを念頭に置いて、対話を始めていただければと思います。

3ヶ月も続ければ、部下やチームの変化を感じ取れるようになると思います。





アンガーマネジメントの前にやるべき事

最近また、ハラスメントに関するニュースをよく眼にする機会があります。
それを象徴するようにアンガーマネジメントに関する研修も
相変わらずニーズが高いプログラムとなっています。

一昔前は、当たり前であった部下への接し方が
今ではすぐハラスメントということになる可能性があり、
企業側も応急処置的に対策を打っているというところでしょうか。


研修を実施する事自体は人に対する関わり方や接し方に
意識が向くことになり、基本的には良い事だと思います。


ただし、私はその前に解決しておかなければならない事があると思っています。
それは、何故「怒りを覚えるのか?」ということについて、
自分なりの答えを知る事、
つまり怒りを発動する「メカニズム」を理解すると言うことです。

例えば、
「普通はここまでするのが当たり前でしょ!」
「若手から挨拶するのか当然だろ!」
「なんで、もっと早く言わないの?」
など、日常のやり取りの中で「怒り」を感じる場面は頻繁に登場するわけですが、


これは、相手が「自分が期待する反応」をしなかった事によって起こります。


そして、「自分が期待する反応」は自分にとって
「これが普通でしょ」「当たり前でしょ」という
ある意味一人一人が持っている固定観念がベースになっています。

したがって、まずは自分が認識している「普通」「当たり前」は
どんな事なのか?を自分自身が理解しないといけないわけです。


でないと、対処法的に研修をやったとしても根本的な解決にはならず、
一過性の効果しか期待できないからです。

実はこの件で最近、ある企業の管理職に対し、コーチングを行いました。

まず、その方が抱えている固定観念である「普通」「当たり前」だと思っている事を
書き出していただいたのですが、固定観念と言っても
ひとつひとつ、見てみるとおかしなことは一切なく、
実は正論そのものであり、異論を挟む余地はありませんでした。

ただし、なぜ他人は自分が当然と思っている反応をしないのか?
なぜ、自分とは違う行動をとるのか?ということについては、
「知らないから」「理解できていないから」という
認識しかありませんでした。

だから、強く言って知らしめなければと思ってしまうわけです。


■違いを認めた上でどう接するか?

この知らない、理解できていないという考えは、
自分の考え方や捉え方が絶対的なスタンダードであり、
他人にとっても当然「当たり前でしょ」という認識に立った考え方です。

しかし、私たち各々が持っている「当たり前」は
自分の人生を通じて出来た「当たり前」であり、
一人一人が違う人生を歩んでいる以上、少なからず「違い」が生じます。

例えば、仕事に対する姿勢について、
残業する事が当たり前だった時代を経験した人と

ワークライフバランスなど
個人の生活を大切にする風潮が当たり前の中で

会社に入ってきた人では、当然、仕事に対する考え方は違うわけです。

その背景には身を粉にして言われたことを忠実にやれば、
定年以降も含めてある程度人生を保証されているように感じられた時代と

会社が社員の人生を保証できなくなり、会社と社員の関係性が変わってきたという
背景の違いがあるとも言えます。

なので、部下が自分が期待する反応をしない場合については、
まずは「当たり前」が違っているのかもしれないという視点を持つ事と

その違いはどこから生まれているのか?を洞察してみる事も必要です。

■感情面からの洞察も必要

あともう一つ考えるべき事は、「感情」です。

なぜ、感情について考慮すべきなのかと言うと
私たちが「感情優位」な動物であるからです。

なぜ、感情が「思考」よりも強く、人の行動に影響を及ぼすという事に対しては
「脳」の進化において「思考」を司る機能が出来たのが
「感情」を司る機能が出来てから、2億年も後だったからであると
考えられている事は以前お伝えした通りです。

したがって、相手が自分の期待通りの反応をしなかった時には
相手の「感情」についても考えてみる必要もあります。

例えば、若手が自分の方から挨拶してこなかったとします。

この場合、「けしからん!!」と思うかもしれませんが、
やらなかったのではなく、出来なかった可能性も考えた方が良いという事です。

「他の事を考えていて、視界に入らなかったのかも?」
「仕事で何かあったのかも?」
「何か悩みがあるのかも?」
「何らかの理由で会社に来たくないのかも?」


相手の感情という視点で考えてみると色んな可能性が出てきます。

そうするともしかしたら、自分から挨拶をすべきである事は
わかっているのかもしれないけれど出来なかった可能性が
ある事が推測できるようになります。

■相手に自分の期待を押し付けない

以上、「違いを認める」「相手の感情を考える」という2つの可能性から、
相手が期待通りの反応をしない場合について考えてみました。


それらを踏まえた上で「私達ができる」事は、
自分の期待を押し付けない事ではないかと思います。


そして、「当たり前の違い」について話す場面があれば、
相手の考え方を聞いた上で「否定」せず、
「なぜ、そうして欲しいのか?」を
相手のメリットに紐付けて話し合う事ではないでしょうか?


例えば、

部下「なんで、残業しなくちゃならないんですか?」

自分「残業をしたくないのはどうしてなの?」

部下「プライベートを大事にしたいんです。仕事をするために生きているわけではないんで。」

上司「そうか。それはそうだよね。」
「私も君に残業をして欲しいわけではないんだよ。」
「仕事って納期があるでしょ?だから、それに間に合うように目標を立てる必要があるよね。」
「目標は納期をゴールに例えると今どこにいるかがわかる目印なんだ」
「君が今日到達しているべき目標に到達していれば良いんだけど、どうだろう?」
「今のペースで間に合うかな?」

新人「そう言われると、どうですかね?」
「でも、まだ僕新人なんで、そこまで求められるのはおかしいと思います。」

上司「そうか。新人だから、例え仕事が終わってなくても
残ってまでやる必要はないと思っているんだね」
「じゃあ、例えば君が先輩になったとして新人と2人で組んで
仕事をすることになったとしよう。」
その彼が「君と同じような考えで先に帰ってしまったら、君はどう思う?」
「目標に間に合わせるために彼が出来なかった分を
君が引き受けなければいけないんだよ」

部下「そうか、自分がやらなければいけなかった事を
他の人がカバーしなくてはいけなくなるんですね?」

上司「そうだね。私たちは組織で働いている以上、協力し合って、
組織の目標を達成するために動く必要があるんだ。」
「私だって、本来は残業する事は良い事ではないと思っているけれど、
時には必要な場合もある事はわかってくれたかな?」


部下「はい。」

上司「だから、残業しなくても良い状態になるように一緒に頑張ろうよ」


部下「わかりました。」



実際はこのようにスムーズにはいかないかもしれません。
ただ、「新人」だから、相手が「未熟」だからという認識で
否定したり、説得しようとするのではなく、
相手がなぜそのように考えるのか?を考えながら、
辛抱強く接してゆく必要があると思います。


慣れるまでは苦しいかもしれませんが、
相手の視点に立って考えることができるようになれば、
仮に、一瞬怒りを覚えたとしても表出せずに
クールダウンする事ができるようになります。

自分の持っている「普通」や「当たり前」は
案外わかっていないものです。


仮にアンガーマネジメントの研修をするのであれば、
自分の「普通」「当たり前」を内省する事も
セットでやっていただけるとより効果的です。


今日の内容が上司と若手のギャップを埋める一助になれば幸いです。

「上司の関わり方」が6割

1月から、

大手精密機械メーカーのプレイングマネージャー10名に対し、


「コーチング」を実施しています。




この人たちは、どちらかと言うと上司から


「評価が低かった」方々です。



上司から出された課題に対する、

アクションの実行をサポートしてゆくのですが、



一人一人と向き合い、じっくり話しを聞いてみると


「やっぱりな」と改めて気が付いた事があります。





それは、今の上司が改善して欲しいと認識している「問題」は


その人そのものの問題と言うよりも




「上司」がどう関わったか?という事によって


生まれるケースが多いという事です。





例えば、現在の上司に「もう少し、リーダーとして


主体的に行動をして欲しい」という課題を与えられた


あるプレイングマネージャーは





以前の部署では長きにわたり、


研究職のスペシャリストである上司に


言われた事を実行する事だけを求められてきました。





つまり、

「君の意見などいらない、私の指示通りにやってくれれば良い」と


いう事を言われ続けてきたという事です。



ご本人は、自分をあたかもモノであるかのように

扱われていると感じた事でしょう。

また、別のプレイングマネージャーは


ホウレンソウなど業務上必要なコミュニケーションが


弱いという評価を受けていますが、





以前の上司は自分の業務遂行に埋没し、全くと言ってよい程、


部下の仕事を「見ない」人であったので





上司に信感を抱き、

積極的にコミュニケーションをとろうという意識が


薄くなってしまったそうです。





大人ですから、全てが上司の責任とは言いませんが、

上司の部下に対する影響力は大きく、



関わり方次第では

今の問題は「発生」しなかったように感じます。

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本当の問題は何処にあるのか?

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今回10名の方々と接してみて


私が本当にその人自身に本質的な問題があると感じた人は


「4人」です。


10名中6名は過去現在における

上司との関係性に問題があると思っています。



つまり、6名は上司次第で今回の対象には


ならなかった可能性があるという事です。




これは本来、活かされるべき人間が活きていないという事になり、


会社としては「目には見えない」大きな損失です。



では、このようなミスマッチが起きないようにするには


どうしたら良いのでしょう?


ひとつは、「部下を持つ」べきでない人を

上司にしないという事です。




これは、


プレイヤーとして優秀であるからと言って

「優秀な上司」になるとは限らない

という認識に立つという事です。



たしかに「できる人」がリーダーとして育ってくれれば


それに越したことはないですが、



先ほど挙げた研究のスペシャリストである上司のように


どうしても「向かない人」も一定数いるのは事実です。




なのでそういう人は、


思い切って

その任からといてあげた方が

「本人」にも部下の為にも良いのです。



評価や給料にも関連する事なので


簡単な事にできる事ではないかもしれませんが、




利益と損害のバランスを考えれば、

その人を上司に置いておくよりも

プレイヤーに徹してもらう事の方が


はるかに「益」を産むのではないかと思います。



あともうひとつは、上司が


部下に対する「見方」を変える事だと


思っています。

これも言うのは簡単で

なかなかすぐには難しい事かもしれませんが、

自分より部下は「下」であるという認識を改めると

いう事です。



一般的に上司の方が「熟練度」が高いため、

どうしても「部下」に対しては

「上」から見がちになりますが、




「自分より下」と言う見方は

部下のモチベーションの低下や成長の鈍化に繋がります。



「下」ではなく、


ともに「チームの目的、目標を実現する」仲間なんだと

いう見方に変える事が出来れば、

「損」は「益」に大きく転換できるでしょう。




「人は理屈ではなく、感情で動く」という事は、


私の研修でも強調して伝えている事ではありますが、

関わり方次第で、 

やる気の向上やコミュニケーションの活性化、

関係性の向上に結び付くのであれば


結果として、上司である自分の仕事も楽になるはずです。




会社で働いている人がどんな関わり方をしているのか?が


パフォーマンスに大きく影響するという事は、





グーグルが証明し、


「心理的安全性」と言う言葉とともに

認知されるようになってきました。



であれば、


後はいつから、どこから始めるかです。



これは、ある意味会社の「体質改善」でもあるので


「変化」が見えるまではそこそこ時間がかかりますし、






進捗に対しては、一進一退があるはずです。





変化に抵抗する勢力に妨害を受けるかもしれません。

でも、これからは

今まで以上に「人」を活かせる企業が

生き残り、発展をしてゆくと私は信じています。




現状維持を続け、


じり貧になって後で後悔する前に


早めに手を打つ方が得策だと思うのですが・・・。

今日は、ある企業の例をとって


お話をしましたが、


同じような問題は

日本中至るところにある組織、会社にあると思っています。




良かったら、この機会に

ご自身の会社も「上司の適正」や




「上司の部下に対する関わり方」について


見つめ直して頂ければ幸いです。

サッカー日本代表「ベスト8」に向けて犯した2つのミス

サッカーワ-ルドカップが

いよいよ佳境に差し掛かってきました。



わが日本代表は「ベスト8」の目標を掲げての

チャレンジでしたが、




残念ながら、またしても悲願達成はなりませんでした。




強豪ドイツとスペインを倒したことは


奇跡のような出来事であり、

賞賛以外の言葉はありませんが、






ここまできたら、やはり、


「壁」を突破して欲しかったし、


間違いなく


「できたはず」ではないか?と思っています。





私はサッカーについては素人なので


技術や戦術的な事はわかりませんが、






「人の心理」という目線で考えると


ほんの少しアプローチを変えるだけで


クロアチアには勝てたと思っています。




理由は2つあります。



一つ目は目標設定の仕方です。


脳科学的には「目標」の設定によって


勝敗が分かれるという事は


良く言われていて





代表的なのは「水泳日本チーム」に

コーチとして帯同した





林さんという脳科学者が

パフォーマンス向上のために


行ったゴール設定の仕方です。





通常水泳は「壁にタッチ」することが

ゴールになるわけですが、





ゴールを目の前にすると「人の心理状態」は変化し、


「力んだり」「緊張したり」で





パフォーマンスが落ちるという事がわかっていました。





野球でも勝利がかかった最終回で


「ここを抑えれば勝てる」と言う意識が強くなりすぎた


投手が四球連発で崩れる場面がよく見られるのも



目の前に「ゴール」が迫ってきて


必要以上に「緊張したり」「力んだり」するからです。




それで林さんがまず行ったのが、


ゴールの設定を変えるという事だったのです。




最近、水泳競技をTVでご覧になった方は


お気づきかもしれませんが、

選手たちは壁にタッチしてから、

一様にある行動をとっています。




それは振り返り、

「掲示板のタイムを見る」という事です。




つまり、ゴール設定を「壁にタッチ」ではなく、


「タイムを確認する」にしたのです。





これによって、実際にコンマ何秒の


タイムが向上が見られたそうです。





人は誰しも、ゴールが目の前に迫ってくると


緊張したり、力んだりする。




その心理を利用して「ゴール設定」を


変えたのでした。





サッカー日本代表に話を戻すと

ペナルティキックの結果如何で

目標としていた「ベスト8」に





進めるかどうかが決まる、

痺れるような場面では




選手たちに相当なプレッシャーがかかったことは


容易に想像がつき、






パフォーマンスが落ちるのは当然の事だと


思われます。





では、どうすれば良かったか?という事ですが、




決勝トーナメントに進出が決まった段階で




ゴールを「ベスト8」ではなく、



「優勝」に軌道修正するか、






韓国が作ったアジア記録である「ベスト4」にすれば、


良かったと思います。




そうすれば、


「ベスト8」はたどり着きたいゴールではなく、


プロセスなので






「こんなところで負けるわけにはいかない」という


強い気持ちを持って





PK合戦に臨めたのではないか?と思います。



実際に今回、決勝トーナメントに進出できたのは


「ベスト16」を「目標」とするのではなく、



「通過点」にしたことも


大きな要因であったと考えられるからです。

とは言え、決勝トーナメントで

一度も勝ったことがないチームが





ベスト4や優勝を掲げるには勇気と根拠が必要なので


致し方ない面もあったと思いますし、




ドイツやスペインと同じ組になった段階で


「本音」のゴールは「ベスト16」だったのではないか?と


私は思っています。



だから、決勝トーナメント敗退でも

サッカー協会的にはOKだったのでしょう。



あと、

もう一つ変えるべき事は「PKの順番の決め方」です。



「挙手」で順番を決めたそうですが、


「一番目に蹴りたい人?」と選手たちに聞いても




5秒くらい誰も手を挙げなかったそうです。




この場面での「5秒」って結構長いですよ。




実は、この段階で「勝負あり」だったと


私は思っています。




つまり、PK合戦を想定した


準備ができていなかったという事です。




それで、仕方なく?「南野選手」が手を挙げたわけですが、

緊張で気持ちが弱くなっていた時に

相当なプレッシャーに中で蹴ったボールが

止められたとしても

誰も彼を責める事は出来ません。



選手たちの自発性を大切にしたのかもしれませんが、

一方で責任を「選手達」に委ねたという見方もできます。


「本田圭佑」のような人が居れば、

また違ったかもしれませんが、


ここは、監督が順番を決め、

「これで行く。責任は俺が持つ。思いっきり蹴ってこい‼」と

送り出してあげたら、



もしかして、結果が変わっていたのではないか?


と思っています。




監督と選手たちの関係性が良かったようなので


一層そう思えてなりません。




まぁ、結果論ではありますが、


このように勝負の綾は、ちょっとしたことで


揺れ動きます。




日本のスポーツにも以前よりは、


メンタルトレーニングやコーチングが





導入されてきていると思いますが、

世界に打ち勝つには、正直、まだまだ


不十分なのかもしれませんね。



ところで、リーダーシップの形は、


トップダウンではなく、

メンバーの主体性を活かすスタイルが




良いとされているのが、最近の風潮であり、

私もそこを目指して「人材育成」を

行っているわけですが、



今回の森保監督の采配を見ていると

ここぞという場面では、



トップダウンも必要ではないかと思います。






平常時は、部下たちのコミュニケーションを活性化させ、


主体性をどんどん引き出して行く事が大切ですが、


誰も手を挙げたがらない、あるいは膠着する、


議論が停滞するような場面においては、


上司が決めなくてはいけない。




大切なのは、状況によって使い分ける事です。



そのためには、メンバーを観察し、感情を敏感に感じ取り、


出し入れができる能力が必要です。



今回のサッカー日本代表の姿を見て、


改めて、今に時代に合ったリーダー像が

明確になったような気がしますし、



私自身もコーチとしての

研鑽を積んでゆきたいと改めて思いました。




さて、スポーツにおける次の楽しみは


来年3月開催のワールドベースボールクラシック(WBC)。




どんなドラマとチームマネジメントが見られるのか?



今から楽しみです。

優秀な奴ほど「気にかけ、未来を語る」

今日は「スモールステップ」のお話をする予定でしたが、

先日、ショックな事があり、




今日は

それを題材にお話ししたいと思います。






あなたの会社にも

「エース」のような、





辞めてもらっては困る優秀な社員が居ると思います。





そういう人は、往々にして手がかからない貴重な存在で

その人に任せておけば、万事上手くゆくような人。





基本的に優秀であるが故に

会社も必要以上に干渉せず、





業務上のやり取り以外、じっくり話す機会も

少なくなる傾向があります。






なぜなら、私たちは「問題」があったり、

「サポートが必要な人」の方に





意識がとられ、時間もエネルギーも費やす事が多いからです。

でも、油断して放置しておくと





「後悔先に立たず」と言う結果を招いてしまいます。

実はまさに、今お話ししたようなことが





「カンパニーコーチ」として関わっている会社で

起こってしまいました。






その彼は社内でも一目置かれた優秀な人材で

会社としても近い将来、

幹部になって欲しいと考えていた人です。




その彼が中心メンバーの一人として関わっていた

「若手勉強会」に欠席が目立つようになり、




心配になった経営者が話を聞いてみたところ、

「退職」する意思がある事がわかったのです。





理由を聞くと

来年結婚を考えている婚約者が遠方に居て、




結婚をするにしても東京に出てくる意思がなく、

それなら、彼女の元に転居し、転職しようと考えたそうです。






現在は転職活動の最中でいくつか候補企業の中から

何処に行くかを考えているという状態です。





経営者から「私からも話をして欲しい」と言われ、

面談したのですが、





心がすでに会社から離れている印象を受けました。




もちろん、会社側も引き続き、

引き留めるための説得を試みてはいますが、





そこまで、話が進んでいると

翻意させる事は難しいだろうと感じています。





ただ、彼が「転職をする」という決断に至るまでには

ある程度の時間がありました。






彼の話によると

付き合っていた彼女との間で結婚の話が出たのが半年前、






転職に向けて舵を切ったのが「8月」頃だったそうです。





一旦は、

会社側と交渉する事も考えたそうです。




例えば、

「全てリモート勤務にしてもらえないか?」




「転居先に会社の支店を出してもらえないだろうか?」

など。






でも、実際は会社に対し、何も交渉しませんでした。



その理由は、

「この会社にそこまでこだわる理由がない」という結論に

至ったからだそうです。






この言葉は言い換えれば

今の会社に魅力がないと言っているようなもので




とても、とても「重い一言」です。





もう少し早く、話が出来ていればとも思いましたが、

それでも恐らく、結論は変わらなかったでしょう。





事は急場しのぎでなんとかなるような

単純な話ではないからです。





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優秀な奴ほど「会社の未来」を創る側に引き込む           ー-------------------------- 



今回の彼のような優秀な人間は、

中途半端な状況で「人に相談する」事はせず、




進退は自分だけで考える事が多いように感じます




したがって、会社にとって重要な人ほど

未来を描く側に立ってもらえるように

早くから、継続的に働きかけてゆく必要があります。





「期待は伝わっているだろう」、

「分かってくれているはず」という考えは




人の心には通用せず、




まめにコミュニケーションをとってゆく必要が




あるんだという事を

私も改めて、今回の件で学ばせていただきました。





今は「彼の幸せ」を祝福しつつも

同じことが起こらないように




早速、会社に対しては幹部候補の選定と

新しい幹部会を設立する事を提案しました。





転職にそれほど抵抗がなく、

個人の時代と言われる現代において、




優秀な人に「ずっとこの会社で働きたい」と

思ってもらえる様な





魅力ある会社創りに貢献して行きたいと

私自身も今回の件をきっかけに

決意を新たにしました。





優秀な奴ほど「まめに」気に掛けてあげる。




ご参考にして頂けたら幸いです。

研修の生産性を覚醒させるには②

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研修の生産性を高める方法②

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今日は研修の生産性を高める方法の②として



「フォーカスしたアクションプランを作る」について

お話ししたいと思います。



研修による変容が起こらない、続かない理由の

一つはアクションプランの作り方が甘い事です。



どういうことかと言いますと、



アクションプランが曖昧で抽象的な表現にあふれた内容に

なっていると




目的や実行を図る基準がないままスタートすることに

なるのでアクションが続かなくなってしまうのです。




例えばアクションプランに

「チームメンバー全員で定期的にミーティングを行い、

話し合う」という内容を書いたとします。



この場合だと

目的は何か?各回のゴールは何か?いつやるのか?



定期的とは?どのくらい時間かけるのか?手段は?が

明確ではありません。




よく考えればわかる事なのですが、実際私の研修に参加した

プレイングマネージャー達の多くは



こういう内容のアクションプランを作るケースが多いのです。



仮にこの状態で「では、みなさん頑張りましょう!!」と

アクションを進めるとどうなるかと言うと




最初の何回かは実行できたとしても

二回三回と回を重ねてゆくうちに

内容が薄くなります。



なぜなら、「目的」や「やる事」が不明確だからです。




すると、参加者の中で徐々に「ミーティングの優先度」は

下がって行き、




「忙しい」「急用」など理由を挙げて

参加しない者が出てきて、






いつの間にか「忙しければ、他に用があれば、

参加しなくても良い」という

不文律が出来上がります。





かくして、人数が揃わない状態が続いてゆき、

やがて形骸化し、





ついには、全員が業務多忙を理由に

開催されなくなってしまうのです。





なので、アクションプランを組むときには、

このような項目を明確にしておく必要があります。




さら言うと「アクションプランの記入欄を

項目ごとに細かく設定したほうが


より「具体化」のイメージは

つきやすいでしょう。

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■明確化を避ける理由

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ただ、このような明確化の意図と重要性を
事前に説明したとして




研修参加者のアクションプランは劇的に変わるのか?

と言うと



残念ながら、

それでも変わらない方も少なからずいらっしゃいます。




例えば、アクションプランの記入欄に



「いつ?」を記入する欄があったとしても

「今期中」とか「12月中旬までに」という

表現をするのです。




これでは、いつから着手するのか?が曖昧で

だらだらスタートが後ろに伸びてゆく
可能性が高くなります。




なぜ、具体的な内容を!!という

説明をされても




アクションプランの内容は変わらないのでしょう?



それは、具体的に決めるという経験値が低いのと


さらに決定的なのは「ある心理」が働く事です。





ある心理とは「明確にするとやらなくてはならないから、

約束したくない」と言う心理です。



アクションプランは実際に実行し、

変化を起こす事が目的であるはずなのですが、




私たちは「本能的」に変化を避ける傾向があります。



これは私達の「脳」に原因があると考えられています。



変わるということは、

未知の領域に一歩を踏み出すことになり、






踏み出しても期待する変化が起こらなかったり、

現状よりも悪い状態に陥る可能性もあるため、




脳はリスクを避けて、

なるべく現状を維持しようとするわけです。





「ダイエット」や健康増進のための取り組み、

例えば「ジョギング」が続かないのはこのためです。




研修に当てはめて考えると

アクションを明確にしたら、






「絶対新しい行動(変化)をしなくてはならない」ので

リスクを考えると



行動しなくても良い可能性を担保しておきたいのです。




特に私たち日本人は

曖昧な表現をしたがる傾向が強いようで、





組織の意思決定スピードが落ちる要因にもなっています。


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■目的と価値、恩恵を明確にし、

想定できる障害を一歩一歩クリアして行く

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では、変化を嫌う習性がある私達が

どうしたら、新たな行動をし続けてゆけるのか?

という事ですが、


実行することを鮮明にイメージできるまで

具体化にすることは当然の事として





「リスク」よりも「目的」や実現の「価値」「恩恵」に

目を向けてゆく事、





そして、目的実現に至るまでの「障害」を

あらかじめ想定して





「心」と「対応策」を準備しておく事だと思います。





例えば、「メンバーを毎週金曜日16時に集めて

1時間ミーティングをする」でしたら、





当初は「強制感や義務感からくる態度」で

メンバーが臨んでくることは




容易に予想されますし、

また、余計な事を始めようとしているのか?という





「警戒心」「抵抗感」を露にする人もいるかもしれません。




また、「意見を言わない」「とりあえず、賛成する」など

消極的な姿勢も想定されるかもしれませんし、




チームの状況によっては、参加者の誰かが

ミーティングの開催を

「なし崩し」にしようとする事さえあるかもしれません。


でも「障害」を予測できれば、

それに備えて想定問答集のようなものを

準備しておくこともできます。




どうしたら良いか?自分でわからなければ、

仲間や上長に相談して対策を練ることもできるわけです。




ただし、口で言うのは簡単で

こういう障害に立ち向かってゆくには





覚悟と思い、そしてエネルギーが必要になります。




今の状態を作ったのもある「リーダーである自分」であると

覚悟を決めて、進んで行かなくてはなりません。





それでも、一人ぼっちの孤独な闘いは辛く、

長く続けるのは難しいと思います。

なので、一番理想的なのは

上長がサポートしてあげる事です。



「一緒に頑張ってゆこうよ」という伴走する

姿勢を見せる事です。




間違っても、「上から」できていない事を指摘したり、

厳しい事を言うだけの関わり方は




いたずらにプレイングマネージャーを

追い込む結果になってしまうので

絶対に避けるべきです。




上長とプレイングマネージャがうまくいっていない、

信頼関係が弱い場合もあると思いますが、




そういう場合は「外部のサポート」を

活用することをお勧めします。




私の経験上、「利害」のない第三者の方が、

本心を話しやすく、




苦しい胸の内や悩みを話すことによって

元気とやる気が回復した例は少なくありません。




心当たりがありましたら、研修と合わせて

ご相談いただければと思います。




今日は、

研修の生産性を上げるために

フォーカスしたアクションプランを作る



についてお話ししました。




次回は「研修参加者の動機」について

考えてみたいと思います。

部下の主体性を覚醒させるには⑥

プレイングマネージャー「虎の巻」

今日は「自信の能動的獲得と受動的獲得」について

お話ししたいと思います。


これまで部下の自信を育むことが

主体性の覚醒に繋がるというお話をしてきました。






人の成長とはまさに

自信を増やしてゆく事に他なりません。

では、その自信はどのように獲得されるのかという事ですが、




まず、イメージできるのは、

何かしら目標を達成できた時ではないかと思います。






努力が実り、成果に繋がった瞬間に

私たちは、「自信」を感じる事が出来ます。




私は、これを自信の「能動的獲得」と呼んでいます。


日々そういう出来事があれば、

放っておいても勝手に自信は積み重なってゆくのでしょうが、

実際にはそうはいきません。





なぜなら、上手くいく事よりもいかない事の方が多いのが

この世の常だからです。





なので、私たちが部下を育てる上で

成果が表れる場面にだけ「注目」していると

なかなか「自信」を獲得してもらう場面は訪れないわけです。






そこで、今日一番お伝えしたい事である「受動的獲得」が

重要になってきます。



自信の「受動的獲得」とは「人からのメッセージ」で

獲得する自信の事を意味しています。




簡単に言えば、人から「褒められる」「称賛される」「承認される」

事によって得られる自信です。





これは、部下自身も何気ないひらめきや

ちょっとした発見によって





行動に移すことも多く、本人も自覚しにくい場合もありますので

上司であるプレイングマネージャーの観察力が問われます。





どういう所を見るのか?どういうタイミングなのか?は

慣れが必要なので、しばらくは意識的に

「訓練」する必要があります。



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■自信の受動的獲得はなぜ有効なのか?

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訓練してまで、「褒める」「称賛される」「承認する」等の

メッセージを送る意味は、

日常の中で、観察の仕方がわかると

部下がプチ成長している場面に

たくさん遭遇することができるからです。





「説明の仕方を変えたな」「資料の整理、工夫したんだな」

「いつもより良い笑顔で接客できていたな」など




ちょっとした成長を感じたり、

いつもと違う改善が見られたり

部下の何気ない変化に気が付くことがあるはずです。






それを「そのまま」伝える事で

上司は、自分を見てくれている、認めてくれる

と思うようになり、



仕事に対するモチベーションが上がるのと同時に

「自信」を持つことができます。





元々私たち人間には、「自分を見て欲しい」

「気にして欲しい」という




帰属認知欲求と言うものがあり、

これが、信頼関係の構築や、

成長を加速する要因に繋がるわけですが、





これを十分理解した上で「部下育成」に活かせば、

部下は、上を向いて進み続ける事が出来ます。


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■でも褒めるのは難しい?

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「いざ、褒めようと思うとなかなかうまくいかないんですよね」

私の研修に参加したプレイングマネージャーから

良く出てくる「悩み」です。





誰しも「褒められれば」うれしいものですが、

無理して「褒める」必要はありません。


「褒めなくては」と思うと「なんて言おうか?」と

伝える言葉を考えてしまったり、



表情や言い方が「不自然」になってしまう事もあり、

度が過ぎると「逆効果」になってしまう場合もあります。






なので、「感じたまま」をそのまま伝えれば良いのです。





先ほどの例で言えば、

「説明の仕方変えたんだね」

「資料整理工夫したんだね」

「今日笑顔良かったよ」

みたいな感じです。






そして、あともう一つ大切な事は

気が付いたら「すぐに伝える」という事。







なぜなら、

後で言おうと思うと忘れてしまう事が多いのと

本人も自覚がなくなってしまうからです。





なので、鮮度管理も

部下を承認する事においてとても大切なので

気に留めていただきたいと思います。






今日は、「自信の能動的獲得」と「受動的獲得」について

お話ししました。



忙しいプレイングマネージャー育成の一助となれば幸いです。

部下の主体性を覚醒させるには⑤

~プレイングマネージャーの育成法~

今日は自信の「揮発性と積立」についてです。



一言で言うと過去の自信は放っておくと消え、

積み立てていかないと減る一方であるという事です。





何か、自分が期待した通りの成果が上がった時、

私たちは「自信」を感じる事が出来ます。





ただし、時間経過とともにその自信は、

過去のものになって行きます。




だからこそ、自信が減らないよう、

増えてゆくように積み立てをしてゆく必要があります。





これに気が付いたのは、

ある社労士さんのコーチをした時です。





その方は、「自分に自信がないので、自信をつけたい」というのが

コーチングのテーマでした。






ただ、経歴を聴くと

子供のころから、受験では第一志望に受かり、





就職においても「希望通り」大手航空会社のCAになり、

さらに、一念発起してチャレンジした

「社労士」の試験にも一発で合格。






「それでなんで自信がないの?うそでしょ‼」と

突っ込みたくなったのですが、





自信は主観であり、今はどうか?が基準になるので

「なぜ、そう思うのか?」からセッションを始めてゆきました。






そんな中、そのクライアントが言っていたのは、

試験の類は「取り組むべき事」が明確で




後は、実行すればよかったけれど

今は「何をどうして良いのかわからない」というのです。





ここも以前お伝えした「錯誤」があるのですが、

人は「曖昧」だったり、「不明確」な状態だと「不安」になり、

その状態を「自信がない」と認識しがちです。





なのでまず、「自信とは何か?」「今の状態はどうか?」という事を

対話の中で明確にして行きながら、この錯誤に気づいてもらい、

自信の積み立てに取り組んでゆきました。






具体的には、「望んでいる状態」になるまでの

プロセスを仮説として決めて、





取り組みを具体的にし、その進捗を追いながら、

一歩一歩やった事と気づき、得た事を整理してゆく事です。





こういう事をセッションごとに繰り返して行った結果、

半年経過した頃には





そのクライアントは

自分の行動に手応えを感じられるようになりました。



それに伴い、コーチングのテーマは「自信をつける」から

一歩前進した「自分のスタイルを確立する」に変ったのです。






自信を積み立ててゆくとはこういう事で

取り組みを明確にし、行動の意味をプラス化してゆく事なのです。






私たちが日々行っている行動は、成果に繋がらない事も多く、

それだけ見ていると「自己否定」や「自信喪失」しがちです。





でも、仮説を修正しながら、取り組みを続けてゆく事で

期待以上の成果に繋がる事もあります。





大切なのは、行動を止めない事。





プレイングマネージャーが部下に接する時も

やる事を一緒になって明確にしてあげ、





すぐには成果に繋がらないようなことも

取り組みの中に意味を見出し、





一緒に確認をして上げ続ける事で

部下は、「自信」を獲得できます。





「自信の揮発性と積立」。





「部下の自信を育む事」は

今やプレイングマネージャーにとって




最も「重要な役割」と言っても良いかもしれません。




今日は自信の「揮発性と積立」についてお話ししました。





次回は今日の内容に関連した

「自信の能動的獲得と受動的獲得」について

お話ししたいと思います。

部下の主体性を覚醒させるには④

今日は「自信は部分的で良い」についてお話します。



部分的で良いというのは「結果」のみに囚われることなく、

プロセスで得たものを大切にしようという意味です。




この話をしたいと思ったのは、

研修等を通じて、若い世代の人達に接してきた中で


上手くいかなかった、たったひとつの出来事で

自分を全否定するような思考を持った方が

多いと感じたからです。



何か一つ上手くいかなかったとしても

それイコール、その人の存在そのものを否定するものではないし、

自信を失うべきではありません。



でも、何かあるとすぐ自分を駄目であると思ったり、

自信を失うという人が多く、


これが、成長を鈍化させるひとつの要因であると

私は考えています。


永い間、肯定されるよりも

否定をされる経験が多かった結果によって

このような状況を招いているのではないかと思いますが、




人材の育成を考える上で「この問題」について真剣に考えないと

どんなに素晴らしい教育を提供しても

付け焼刃で終わってしまいます。




なぜなら、チャレンジに対し、上手くいかない事の方が圧倒的に多く、

それでも行動を止めない事が大切だからです。



では、何から考えるか?という事ですが、

まずは、部下の出来た事、気づいた事に上司が目を向ける、

そして、部下の目を向けさせることが大切です。




仮に望んだ成果がなかったとしても

行動した結果、得たことが必ずあるはずです。



私たちは、ついつい上手くいかなかった要因や課題に意識を向け、

ダメだった理由を考え、「反省」をしようとしますが、



こればかりですと何より、モチベーションが上がりませんし、

「自信」の獲得に繋がりません。



例え結果が出なかったとしても行動の中で

気づいた事、わかった事を「意味がある事である」と取り上げ、

積み上げてゆけば

結果以外にも意味を見出すことができ、

「部分的な自信」を獲得してゆく事が出来ます。



 

私たちは、

ダメなところを取り上げ、「反省」するのは、

得意ですが、肯定的に物事を捉えてゆくのは

比較的苦手です。




でも、今私たちに必要なのは「活力」であり、

閉塞感をぶち壊すエネルギーです。




このエネルギーを生み出すためにも

一人一人が「部分的な自信」を積み重ねてゆく事は

とても重要ではないでしょうか?




何事も一所懸命行動すれば

成果に繋がるシンプルな時代ではなくなってきました。

 そろそろ、目先の結果だけに囚われる習慣を手放し、

中長期に物事を考えられる国にしてゆきたいものです。




そのためには、まず日常に「肯定の言葉」を溢れさせてゆく事です。



そして、まず手をかけるべきは「自分」から。



リーダー自らが自身の事を肯定的に捉えるように

日々意識してゆく事です。




そうすれば、自分も効果を実感できると思いますし、

どうやって。部下を肯定すれば良いかがわかってゆきます。




今日は「自信は部分的で良い」についてお話ししました。




次回は自信の「揮発性と積み立て」について

お話ししたいと思います。

部下の主体性を覚醒させるには③

今日は「自信の特性」についてお話します。

それは、特性がわかっていないと

部下育成についても取り組むべきことが

理解できないからです。


私が考える「特性」としては以下の通り4つが挙げられます。

❶自信は「主観」である

❷自信は部分的で良い

❸揮発性と積み立て

❹能動的獲得と受動的獲得

まず❶の「自信は主観である」ですが、

これは読んで字のごとく、

自信は「自分がどう思うか?」によって

決まると言う事です。




これは前回の「成長実感」にも関係する事なのですが、

同じ状況にあったとしても




人によって、受け取り方が違い、

出来事や物事のポジティブな一面を見る習慣があるか




それとも、ない物や得られなかった事など

ネガティブな一面を見るのかによって

「自信」の有無が変わってくるという事です。



どうしても「得られなかった事」もっと言うと

「失敗」から学ぶという意識が強い私達ですが




こういう意識が「自己否定」に繋がり、

「自信がない」と感じる状況にも繋がっているという事を

私たちは真剣に考える必要があります。






そして更に言うと、上手くいかなかった要因は「分析」をしますが、

上手くいった事については、それほど「分析」をしません。




実は上手くいかなかった事よりも

上手くいった事の方に「成長の糧」がたくさんありますし、




何よりも自分が成し遂げた事に対する「根拠」を曖昧にせず、

財産や武器にすることができます。





これはスポーツの世界でもよく見られることで

欧米のトップコーチは、




選手のポジティブな面に目を向けさせ、

なぜ上手くいったのか?できたのか?を

認識、理解させて行くアプローチをします。






私が好きなTV番組で

NHKの「奇跡のレッスン」という番組があるのですが、




欧米のトップコーチが日本の中学生達に

「1週間」コーチをする事で

どんな変化があるのか?を観る内容になっています。



ここでも共通しているのは失敗を指摘して改善するのではなく、




「できた事」「わかった事」「うまくできるようになった事」に

目を向けさせるアプローチをすることです。




例えば、良いプレイがあった時にプレイを止めて、

「今の良かったよ。なんでそうしようとしたの?」と




選手に問いかけるのです。

そうすると選手は「自分の選択」について考え、




自分なりの「答え」を導き出します。



コーチがこういう働きかけを繰り返してゆく事で

選手たちは

自分で出した「答え」の集合体が自信やスキルとなり、

積もり積もってゆくので




同じような場面になった時にいつでも引き出す事ができ、

有効な「再現性のある」プレイ機会が

増えるという事です。





私達は「できる」「わかる」「うまくできるようになる」事に

よって成長を認識できるわけですが、




このように自分の意識を良い所に向けさせ、

自信を育んでゆこうとするのがトップコーチの考え方です。





これは「仕事」にも当てはまる事で

上司も部下も



失敗よりも「できた事」「わかった事」

「うまくできるようになった事」に

に目を向ける習慣が出来れば、




部下は自分を成長させるためのアプローチを

身に付ける事が出来ます。




しかし、現実問題として

「仕事」に前向きになれず、




ただ給料をもらうために仕方なくする事であると部下が考えているとしたら、




「否定」からの改善という従来の「育成」によって

もたらされた結果であると言えるかもしれません。





したがって、私たちが考えるべきことは

私たち自身が自分の行動も含めて、




ポジティブな側面に目を向けてゆく事、

そして、部下や後輩にも目を向けさせてゆく事です。




そのためには、まずリーダー達が

出来ていないことを指摘してすぐ行動を変えさせたいという誘惑と




目先の「対処的成果」を手放す勇気を持つ必要があります。




これは、私たち全員が持っていると言っても良い程

強烈な欲求であり、「習慣」ですが、



結果として「自信喪失」に繋がり、

誰も幸せにしていないという事を

強く認識する必要があります。



今日は「自信は主観」であるという話の中で

「否定からの改善」よりも

ポジティブな面に目を向けてゆくというお話をしました。



次回は、「自信は部分的で良い」についてお話ししたいと思います。