「上司の関わり方」が6割

1月から、

大手精密機械メーカーのプレイングマネージャー10名に対し、


「コーチング」を実施しています。




この人たちは、どちらかと言うと上司から


「評価が低かった」方々です。



上司から出された課題に対する、

アクションの実行をサポートしてゆくのですが、



一人一人と向き合い、じっくり話しを聞いてみると


「やっぱりな」と改めて気が付いた事があります。





それは、今の上司が改善して欲しいと認識している「問題」は


その人そのものの問題と言うよりも




「上司」がどう関わったか?という事によって


生まれるケースが多いという事です。





例えば、現在の上司に「もう少し、リーダーとして


主体的に行動をして欲しい」という課題を与えられた


あるプレイングマネージャーは





以前の部署では長きにわたり、


研究職のスペシャリストである上司に


言われた事を実行する事だけを求められてきました。





つまり、

「君の意見などいらない、私の指示通りにやってくれれば良い」と


いう事を言われ続けてきたという事です。



ご本人は、自分をあたかもモノであるかのように

扱われていると感じた事でしょう。

また、別のプレイングマネージャーは


ホウレンソウなど業務上必要なコミュニケーションが


弱いという評価を受けていますが、





以前の上司は自分の業務遂行に埋没し、全くと言ってよい程、


部下の仕事を「見ない」人であったので





上司に信感を抱き、

積極的にコミュニケーションをとろうという意識が


薄くなってしまったそうです。





大人ですから、全てが上司の責任とは言いませんが、

上司の部下に対する影響力は大きく、



関わり方次第では

今の問題は「発生」しなかったように感じます。

―――――――――――――――――――――

本当の問題は何処にあるのか?

―――――――――――――――――――――

今回10名の方々と接してみて


私が本当にその人自身に本質的な問題があると感じた人は


「4人」です。


10名中6名は過去現在における

上司との関係性に問題があると思っています。



つまり、6名は上司次第で今回の対象には


ならなかった可能性があるという事です。




これは本来、活かされるべき人間が活きていないという事になり、


会社としては「目には見えない」大きな損失です。



では、このようなミスマッチが起きないようにするには


どうしたら良いのでしょう?


ひとつは、「部下を持つ」べきでない人を

上司にしないという事です。




これは、


プレイヤーとして優秀であるからと言って

「優秀な上司」になるとは限らない

という認識に立つという事です。



たしかに「できる人」がリーダーとして育ってくれれば


それに越したことはないですが、



先ほど挙げた研究のスペシャリストである上司のように


どうしても「向かない人」も一定数いるのは事実です。




なのでそういう人は、


思い切って

その任からといてあげた方が

「本人」にも部下の為にも良いのです。



評価や給料にも関連する事なので


簡単な事にできる事ではないかもしれませんが、




利益と損害のバランスを考えれば、

その人を上司に置いておくよりも

プレイヤーに徹してもらう事の方が


はるかに「益」を産むのではないかと思います。



あともうひとつは、上司が


部下に対する「見方」を変える事だと


思っています。

これも言うのは簡単で

なかなかすぐには難しい事かもしれませんが、

自分より部下は「下」であるという認識を改めると

いう事です。



一般的に上司の方が「熟練度」が高いため、

どうしても「部下」に対しては

「上」から見がちになりますが、




「自分より下」と言う見方は

部下のモチベーションの低下や成長の鈍化に繋がります。



「下」ではなく、


ともに「チームの目的、目標を実現する」仲間なんだと

いう見方に変える事が出来れば、

「損」は「益」に大きく転換できるでしょう。




「人は理屈ではなく、感情で動く」という事は、


私の研修でも強調して伝えている事ではありますが、

関わり方次第で、 

やる気の向上やコミュニケーションの活性化、

関係性の向上に結び付くのであれば


結果として、上司である自分の仕事も楽になるはずです。




会社で働いている人がどんな関わり方をしているのか?が


パフォーマンスに大きく影響するという事は、





グーグルが証明し、


「心理的安全性」と言う言葉とともに

認知されるようになってきました。



であれば、


後はいつから、どこから始めるかです。



これは、ある意味会社の「体質改善」でもあるので


「変化」が見えるまではそこそこ時間がかかりますし、






進捗に対しては、一進一退があるはずです。





変化に抵抗する勢力に妨害を受けるかもしれません。

でも、これからは

今まで以上に「人」を活かせる企業が

生き残り、発展をしてゆくと私は信じています。




現状維持を続け、


じり貧になって後で後悔する前に


早めに手を打つ方が得策だと思うのですが・・・。

今日は、ある企業の例をとって


お話をしましたが、


同じような問題は

日本中至るところにある組織、会社にあると思っています。




良かったら、この機会に

ご自身の会社も「上司の適正」や




「上司の部下に対する関わり方」について


見つめ直して頂ければ幸いです。

人が変わらない理由

仕事柄、企業の研修担当の方々と

お話しする機会が多いのですが、

良くお聞きするフレーズがあります。

それは、

「研修の時は良かったんだけれど・・・・」と言うものです。


研修に参加している時は

「良い話を聞けたし、

同じ立場の仲間ともいろんな話ができて

頑張ろうという気持ちになった」

はずの参加者が、


職場に戻るとあっという間に

元に戻ってしまうという現象です。



これは、私たち人間が自己防衛本能を持っており、

「変化を嫌う」性質がある事が大きいからであると

考えられていますが、




今回はもう少し詳しく考えてみようと思います。

以下が私なりに考えた「人が変わらない理由」です。



・現状によって、得ている利益(楽、安心など)を手放せない

・ガッカリリスク(新しい事がうまくいかない場合の事を
考えてしまう)を誇大に考える

・一、二回試して辞めてしまう(やってみてうまくいかなかったら、すぐにやめてしまう)

・現状何とかなっている(問題の先延ばし)

・危機感が弱い(変わらない事によるリスクを考えない)

・面倒くさい、良くなりたいという欲求が弱い(今のままで良い)

・どこかでラッキーを待っている(努力より運に期待、他力本願)

・孤独である



全てが「独立している要素」ではなく、

関連している事なのですが、



この中で特に今回取り上げたいのは「孤独」についてです。



それは、今までにあまり着目してこなかった視点であり、

実は想像以上に大きな要素ではないか?と

考えるからです。





さらに、人が「変わる」上での「障害」は非常に強力であり、

「一人でなんとかしろ‼」と言うのは

少々乱暴かなとも思います。




なぜなら、研修で学んだ「新しい知識やスキル」に対し、

参加者の心の中に渦巻くものは、




必要だと思わない、思いたくない

必要だと思うがやりたくない

必要だと思うし、やりたいが、踏ん切りがつかない

やっても期待通りにいかない

やり始め、続けてはいるが苦しい





というように

学んだことを自分の武器にできるようになるまで

何層にも障害があり、



それを乗り越えるのは、

なかなかはハードな事だからです。



したがって、人が変容するためには助けが必要であり、

応援し続けてゆく事が大切というのが私の考えです。



私の研修に参加してくれるマネージャー達は

リーダーでありながらも同時に

「部下」でもあります。




なので、本来は上長が応援してあげることが望ましいのですが、

上に行けば行くほど、自分でなんとかするのが当たり前という

不文律があり、マネージャー達は孤独な戦いを強いられます。




さらに、プレイヤーとしての責任も大きい為、

精神的にも時間的にも余裕を持てません。



だから、研修の時は一時的に

やる気になっても





いざ実行に移そうとすると「苦しく」なって

チャレンジを始められない、





始めても続けられないという状況になってしまうわけです。





そんな苦しそうな、つまらなそうな上司を見たら、

部下は「マネージャー」になりたいと

思わなくなりますし、




「同情」はしても「尊敬」はしなくなります。

これは、会社の未来を考えても


徐々に深刻な問題になって行くと思います。



ここまで会社での話をしましたが、

これは、会社の中だけでなく、

実は学校や部活、家庭でも同じ。




私は日本社会全体に「応援」が足りず、

変化と成長を鈍らせているように思います。



なので、私の研修プログラムは

基本的に単発ではなく、



伴走コーチングをセットする形でご提案しています。



つまり、私がマネージャーを応援するという事です。



一人でも自分の努力プロセスを

見て続けてくれる人が居れば、



やる気も変わってきますし、

ましてや、コーチとしてのサポートもするわけですから、



単発の研修で終わるよりもはるかに

意識や行動が変わる人が

増えてゆくはずです。



ただし、先ほども言いましたが、

一番効果があるのは上長の応援です。



マネージャーなんだから、

ベテランなんだから、





「やらなくてはいけない」

「できて当たり前」と言う風に




常日頃、厳しく接してしまいがちですが、






一番必要なのは、

いつか変容すると思って、見守り、

応援し続ける事だと思います。






これは、叱責したり、指摘したり、指導するよりも

はるかに「キツい」事ですが、



「キツい」からこそ、続けることが出来たら、

大きな果実が実るのではないでしょうか。



義務感、責任感、使命感で

危機意識をあおるよりも

「応援」を前面に出す。




日本企業の経営者の方、重役の方々に

是非、試していただきたい事です。

予定調和をぶっ壊せ!!

―――――――――――――――――――――――――――――――■予定調和をぶっ壊せ!!―――――――――――――――――――――――――――――――


私がチームや組織改善に臨む上でまず最初に行うのが

「予定調和」を破壊することです。

破壊というと「物騒」に聞こえるかもしれませんが、

真意は、「お互いが遠慮しあって程よく調和している」状態を

壊すという意味です。


人が集まるとその場に少なからず、妥協と調和が生まれ、

「その組織に合った」距離感が生まれます。


必ずしもそれが悪いわけではありませんが、

新しいチャレンジや改革を試みようとすると

「障害」になる場合が多くみられます。


これは、私の経験上、

子供から大人に至るまであらゆる組織で起こる事です。



なので、私がクライアントに対して行っている事と

私が関わっている子供の野球チームに対して

行っている事は実をいうと同じなんです。




特に、停滞している組織は、組織のレベルを決定づけている

古参キーマンの考え方や意思に合わせて停滞していることが多く、

(合わせている方々の本心とは違っても)、





古参キーマンがどういう意識を持っているかによって

チームのカラーが決まっています。


その中では、「雰囲気を壊さないかかわり方」というのが

基本になっており、




本音があっても言えない、

言ったら自分に不都合が生じるというリスクを恐れて

妥協することが当たり前になっているのです。




したがって、組織を向上させようとする為には、

この「予定調和」を壊す必要があります。




そして、破壊に向かうアプローチの基準になるのは、

「ありたい姿」である

「本当はどうしたいの?」「どうなりたいの?」

「今のままで良いの?」「変わったら、何が得られるの?」などの

問いかけです。


ここで、上昇意欲のある人の意見をピックアップして、

予定調和に慣れていた人たちの

「眠れる意欲」に火をつけるのです。





ただし、本音の話し合いができていない組織の中でいきなり、

対話で本音を引き出そうとしても出てきません。


自分から調和を崩すような発言ができる人は

なかなかいないからです。




なので「付箋」を使って、

全員の思っていることを引き出す等をしながら、

徐々に前向きな話し合いに持ってゆくような工夫が必要です。




対話のテーマは、ざっくり言えば、今より良くするには?なので、

今までやっていなかった新しいことをしなくてはならないという

機運が少なからず出てきます。




ただし、ここで起こるであろう問題が

「総論賛成、各論反対」という動きです。




どういうことかと言うと

話し合った時は

「改善に向かって進む」という合意がなされたはずなのに

実際は、予定通りに進まないという状況です。



原因は、

今までの予定調和のスタンダード創りに大きな影響を与えていた

古参のキーマンが表立って行動するかは別として、

何らかのもっともらしい理由で抵抗するからです。


つまり、「なし崩し」にしようとするわけですが、

ここは引かずに「障害がある中でいかに進めるか?」に

議論を移してゆく働きかけと組織の未来に向けて

「絶対にひかないぞ‼」という強い意志を見せてゆく事が大切です。


そうすると、

「本音では組織を良くしたい」と思っているメンバーに

覚悟が伝わり、

支持を集められるようになります。



また、同時に抵抗勢力である古参キーマンとも

話し合う必要があります。

率直に感じていることを伝えつつ、協力を要請することです。




何らかの不満や不信感がベースになって

抵抗している可能性もあるので

彼らの言い分にも耳を傾けながら、前に向かせる可能性を探ってゆきます。





これで変わってくれれば、しめたものですし、

例え、変わらなかったとしても

一度火が付いた変革への流れは止めることはできず、




予定調和に浸かっていた人達の中にも

「危機感」を感じ、遅ればせながら、

変化しようという人が現れたり、

今までとは変わって前向きに進めようと言う人も出てきます。







勿論全ての人がそうなるわけではなく、

中には、依然として既得権益にしがみつき、

変わろうとしない人もいるかもしれませんが、

そういう人はだんだん、居場所がなくなって行きます。





結果として「職場を離れる」人も出てくるかもしれませんが、

「辞める」という事を殊更ネガティブにとらえる必要はありません。





人が「辞める」ということに対し、

憶病になる事もあるかもしれませんが、

私は組織が成長して行く段階の中で

「一緒に進みたくないと思っている人が辞めてしまう」のは、

ある意味仕方がないことだと思っています。







確かに、その人にも良いところもあるだろうし、

居てもらうと助かることも多いかもしれません。




しかし、現状から未来へ行先が決まった以上、

歩を進めることに抵抗する人は、

居てもらっては困るのです。






辞めさせようとしてそうなるわけではありませんし、

もしかしたら、その人に合った職場が他にあるかもしれません。






組織を今より良くし、

未来につながる組織にしようとしているわけですから、

ある程度人が入れ替わるのは致し方ないのではないでしょうか。





勿論、いろんな考え方があり、

緩やかに穏便に進めるという方法もあると思いますが、

私たちが思っている以上に環境の変化は速く、



より一層迅速に対応できる体制が求められてゆく中で

変化に対するスピード感は大切な要素ではないかと思います。





ただし、ドラスティックな改革は、

内部だけでは進めようとすると

「利害関係等」デリケートな問題があり、

進めにくい側面もあるとか思います。






そんな時は、ぜひ一声おかけください。






今回は組織の成長を止める予定調和についてお話ししました。

次回は、プレイングマネジャーの部下である

驚くべき「若手の気質」に焦点を当てたいと思います。

彼らはどういう価値観を思って生きているのか?

を一緒に考えてみましょう。

研修の目的と立ち止まる意味

―――――――――――――――――――――――――――――――■研修の目的と立ち止まる意味―――――――――――――――――――――――――――――――

研修を開催する時に最も考えなければいけないことは

「何のため」にやるのか?

つまり「目的を明確にする事」です。

そのためには、

研修に参加する人たちの「課題」をおおよそ把握した上で

「どうなって欲しいのか?」が

明確になっていなければなりませんし、

研修実施後の「変容に対する期待値」が

少なからず見える必要があります。


しかし、現実的にはなかなかそうならない状況が多いようです。

それは以下のような理由が挙げられるからです。

❶参加者の要因

・研修課題が自身の課題であると認識していない

・仕事の一環として「義務感」で参加している

・研修で新たな知識やスキルを身に付けても

職場に帰ると元に戻ってしまう

・何かを得ようと言う姿勢でなく、「斜に構えて」参加している


❷企画要因

・参加者の抱えている問題を考えず、「知識がないから、」

「やり方がわからないから」できていないと考えている

・研修が研修会社の提供する汎用性のあるコンテンツである

・研修会社選定の決め手が「知名度、企業規模」である

・参加者の課題を研修会社と詰められていない

・一回こっきり、しかも短時間の構成である

・効果測定ができていない

❸研修担当者の要因

・本来の目的でなく、主眼が「自身の責任回避」に向いているので

参加者の課題とコンテンツがフィットしているか考えられていない

・参加者の課題を認識できていない

・意欲を持てず、こなさなくてはいけない業務になっている




「予算が少ない」「業務が多忙である」

「会社の方針が明確でない」などの理由から、

研修の企画や実施に労力を割けないのは、

ある意味仕方ないのかもしれません。



しかし、どこかで見直しをしないと

結果として無駄なコストと時間をかけるだけになり、

良いことは一つもありません。




また、これから社会が急加速で変わってゆく中で

「時代に合った教育」にシフトしていかないと

変化に対応できない組織になってしまう恐れがあります。

私が感じているコーチングにおける本質のひとつに

「立ち止まると早くなる」というものがあります。

私たちの日常は、

ともすると目に前の事に追われる日々の連続になりがちで、

軌道を修正するきっかけがありません。


走り続けていると「視野が狭く」なり、

道から反れていても気が付かなくなるからです。


なので、定期的に立ち止まって

「行先」「現在地」「手段」「次回の到達点」を確認しながら、

進んだ方が無駄な行動や時間の過ごし方をせず、

効率的に進んでいけるようになるのです。



本当は「意味がない」「無駄だ」と思っていても

走り続けているとだんだん「不感症」になり、

「流れを変える事」はとても難しくなって行きます。


典型的な例が「定例会議」です。



研修などで良く「無駄な会議」があると感じているか?を


参加者に質問する事がありますが、

90%以上の方が手を上げます。




業務の生産性向上という事を考えれば、

参加者の時間を同時に拘束する会議のあり方は、

真っ先に手を付けるべきことではないかと思いますが、

あまりにも慣習化しすぎている事で

違和感すら感じなくなってしまうのです。



研修もある意味同じであり、

「目的は何か?」「研修によりどうなって欲しいのか?」

「効果をどう図るか?」は

定期的に見直した方が

費用対効果の高い研修になります。


それでも「忙しくて」という方は、

「忙しい」を俯瞰して、分解してみる事をお勧めします。


私が今までクライアントにかかわってきた経験上、

「心で感じている忙しさ」>「実際の忙しさ」であることが

多いからです。

特に嫌だな、大変だなと思っていることは

実際にかかる負担よりも大ごとに考える傾向があり、

物心ともに余裕をなくす要因になっています。


せっかく手間暇かけて実施する研修なので、

実りあるものにするために

まずは、立ち止まる時間を創ることをやってみてはいかがでしょう。



きっと、「立ち止まった方が早くなる」を

実感していただけるのではないかと思います。

組織を蝕む「慢性的思考停止」癖

――――――――――――――――――――――――――――― ■誰もが陥る「慢性的思考停止」癖の背景にあるもの―――――――――――――――――――――――――――――

こんにちは。

カンパニーコーチの青木栄明です。



今日は「慢性的思考停止」癖についてお話します。

聞きなれない言葉だと思いますが、

この「慢性的思考停止」癖というのは何か?と言うと



「本来たどり着くべき所まで考えずに

途中で考えることをやめてしまう癖が

ついており、本人も自覚がない状態」を言います。



と言うか、私が勝手に定義付けしたのですが・・・。



具体的にはどういうことなのか?を私が提供している

「成長的問題解決」研修の例を挙げてご説明したいと思います。

この研修は2日間かけて「自分が描く理想像」

(例えば、チームや自身のありたい姿)から



「近未来のあるべき姿」を考え、

現状とのギャップを埋めるアクションを考え、

実行に移すというもので



基本的には「マネージャー層」の「思考力」と「主体性」を

引き出す目的で実施しています。



2日間で一枚のアクションプランを完成させることが

研修のゴールなのですが、



参加者がアクションプランにあらかじめ設定されている

「問い」に答え、記入をしてゆく中で

「思考停止」が頻繁に起こります。



例えば「自分の抱えてる問題は何か?」という問いに対し、

「問題」を書ける方は、ほぼほぼいません。


「問題」は「あるべき状態と現状のギャップ」を言いますが

大半の方は「問題」ではなく

「現状何が起こっているか?」を書きます。


仮に自チームのあるべき状態を

「部下との信頼関係が築かれており、

チームが一丸となって目標に邁進している」

だとします。




また、それに対し現状は

「部下との信頼関係はなく、メンバーがバラバラに動いており、

チーム力を発揮しているとは言えない」

だとすると


よく「問題」として書かれがちなことは、

「部下とのコミュニケーションの時間が不足している」等、

現状起こっている現象についてです。


これを「問題」として設定してしまうと

改善のためのアクションは、

「部下ともっとコミュニケーションの時間を増やす」とか



「一日一回話をする時間をとる」等になってしまい、

浅い表面的なもので終わってしまいます。



また、仮にやったとしても期待しているような変容は起こらず、

忙しさにかまけて、いつの間にか立ち消えになりがちです。


本当の意味で「問題」を考えるのであれば、

どうして、そうなっているのか?を深堀りして考える必要があり、



先ほどの例でいうと

「信頼関係がないバラバラの状態」になっているのはなぜか?と

いう事を考え、さらに自分の問題と自分以外の問題に

分けて考えてみる事が重要です。


もしかしたら、メンバー間の仲が悪いのかもしれないし、

面倒くさがって、関わることを避けている自分のあり方に

問題があるのかもしれません。



問題は、得てして、当事者からすると、

「不都合なこと」や「触れたくないこと」

「痛いところを突かれる」ようなものが多く、

表面に「露見している現象の深層」に隠れています。

でも、それを表に出し、メスを入れない限りは

同じような現象が姿かたちを変えて



エンドレスに続くようになり、

本質的な問題解決はできず、チームも成長しません。


私たちが思考停止をする理由は「考えられない」事、

「考える力がない」事が原因ではなく、



大変なこと、面倒くさいこと、不都合なことを避けたいという

自己防衛本能に原因がある場合が多く、表面化させるには、

利害関係のある内部からのアプローチでは難しい場合があります。





それは、距離が近い分、少なからず忖度が働くからです。



なので、お金はかかりますが、

穴が開いたザルで水をすくい続けるより、

第三者の力を借りて修復したほうが結果的に安く上がると思います。



もし、組織の問題を解決したいとお考えでしたら、

一度ご相談いただければと思います。



次回は、似て非なる「対話」と「会話」について

お話ししたいと思います。

プレイングマネージャーの育成❾

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー■プレイングマネージャーの意識を向上させる「リーダーズコミュニティ」                            ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

今回は、リーダーの意識向上に有効な

「リーダーズコミュニティ」についてお話ししたいと思います。

「リーダーズコミュニティ」とは

同じ立場の人同士が、「定期的」に集まって話しをする集まりです。

ただし、ただ集まるだけでは生産性の高い

コミュニティにはならないので

テーマを設定する事が

「実りの多いコミュニティ」を創る鍵になります。

私の会社でも「相互内省」をテーマに

「Wa」kingというコミュニティ型の研修を提供しております。

「Wa」kingのWaは「輪」になって、「和」を作り、「話」をし、

自分のチームも含めた「環」に広げてゆくという思いと



英語で目覚めを意味する「Waking」から付けた名称で

話し合いをしながら目覚めてゆく事を目的としています。



これは「リフレクションラウンドテーブル」という

ヘンリー・ミンツバーグさんという組織マネジメントの学者が

考案したプログラムを参考に弊社なりにアレンジをして、

提供しているものですが、



人間関係における「悩み」から派生した「自分の感情を乱された

(ガッカリ、イライラ、怒り、悲しみ、感動、嬉しいなど)出来事」

について5人一組で1時間~90分間の時間を使って

話し合うプログラムです。

「感情の乱れ」にフォーカスしているのは、

「感情」が「思考」や「行動」「態度」「振る舞い」に

強い影響をもたらし、



人や組織運営の成長に大きくかかわってくるからです。

以前は「仕事に感情を持ち込むな」と言うのが

組織運営についての不文律であり、

感情を軽視する傾向がありました。



しかし、私たちの脳が

本能➡感情➡思考という順番で

進化をしてきた影響で



感情を無視して組織運営を行う事は

かえって不合理であり、生産性を下げる要因になることが

わかってきました。

したがって、お互いの感情の動きや

なぜそう思ったのか?

それは、本当なのか?という事について

冷静に振り返る機会がある事は、

想像以上に大きな価値をもたらすのです。


 「事実」はひとつでも

「人が語る真実はその場にいた人の数だけ存在する」という事は

よく言われる事ですが、

「Wa」kingは、仲間が話す「真実」に「違和感」を持って、

それをフィードバックしたり、

質問をすることで発言者の視点を変え、

「気づき」を促す事、そして、

新たな行動に結び付けてゆく事を目的としています。


ただし、ご想像いただくとお分かりになると思いますが、

職場に導入当初は、自己防御からくる

「相互牽制」や「遠慮」「忖度」が頻発します。


なので、この予定調和を崩す「工夫」が必要になります。

「Wa」kingでは、軌道を修正し、対話が本来の目的に近づくよう

ファシリテーターが「貴重な時間を使って集まる目的」や「意義」を

繰り返し説明したり、



対話を核心に導くようナビゲートする他、

弊社で用意した「相手の気づきに繋がる質問」を用意し、


発言者が「自分の見方は自分だけのものに過ぎないかもしれない」

という事を気付いてもらえるように仕掛けを工夫してあります。


従って、回を重ねてゆくにつれ、本音を語り合えるようになる事で、

「Wa」king本来の狙いを汲んだ対話が

繰り広げられる様になり、



それを現場に持ち帰り、

「関わり方を変える」行動に繋げるという人が増えて行きます。


また、その中で「意外な方」が成果を報告してくれたりし、

それを聞いている仲間が刺激を受け、

自分から質問をするような場面も見られるようになります。



もちろん、ガンとして「変わろうとしない」人も

いるのは事実ですが、

当面は「その人の中で不愉快な葛藤が起こる」状況を

作れれば良いと考えています。

最初にお話しした少年野球の話ではないですが、

他人の成長には「波」があり、いつ変化するか?は

人によって違うからです。

「自分の方が正しい」という思考は、「変化を妨げる要因」で

全ての人間が持つ「自分が可愛い」という感情から

起こるものあり、ある意味人の根っこにあるものです。


ですが、そのまま周囲の人と関わると

信頼関係を損ね、「見えない孤立化」が起こり、

あらゆる問題を引き起こす要因となります。


自分が「普通」だと思っている考え方は

本当に「普通」なのか?を


考える機会は日常で中々作る事はできません。


なので、定期的に5人一組の集まりの中で

自分に偏った「モノの見方」に気付ける事は、

少し、「痛い」「不愉快」な思いをするかもしれませんが、

とても貴重な時間になり、

後になって、リーダーにも、チームにも、そして会社にも

大きな恩恵をもたらします。

今回はプレイングマネージャーの意識を向上させる

「リーダーズコミュニティ」についてお話ししました。


もし、気になる事やご質問があれば

お気軽にお問い合わせいただければと思います。

次回は、企業を停滞させる「慢性的思考停止」についてお話ししたいと思います。

プレイングマネージャーの育成❷


こんにちは。

カンパニーコーチの青木栄明です。

北京オリンピックが始まりましたね。

様残な問題を抱えて「平和の祭典」であるオリンピックが

中国で開催されるところに違和感を感じますが、

選手たちの頑張りに敬意を表し、

あまり深く考えずに応援しようと思っています。

ただし、家族でオリンピックに興味があるのは

「私だけ」という事で

ゲームやYOUTUBEに夢中な子供たちを見ると

一緒に盛り上がれない所に

寂しさを感じる今日この頃です。

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■プレイングマネージャーがリーダー能力を身に付ける上で鍵となるもの

前回、様々な制約がある中、

プレイングマネージャーがリーダー能力を身に付ける上で

5つのポイントが鍵になるとお伝えしました。

今回は一番目

「コミュニケーションの生産性」についてお話したいと思います。

現在、コロナ禍の中で部下とどのようにコミュニケ―ションを取って行ったらよいのか?

悩んでいるマネージャーの方は多いのではないかと思います。

理由はいくつか挙げられますが、

概ね以下の通りではないかと思います。

❶価値観の変化

部下世代(特に20代)の価値観が自分達と違うことによって、どう関わったら良いか?

何を話したら良いか?がわからなくなっている

➡部下世代を取り巻く、相対的な人間関係の希薄化が背景にある(反応が微妙であったり、本心が読めない)

❷時間的制約

プライベートと仕事を明確に分けたいという価値観を持つ人が増えており、なかなかアフター5や休日などオフタイムのお誘いが出来ない

➡仕事(会社)とプライベートを明確に分けたいという価値観の定着

❸コミュニケーション手段の多様化

一昔前は「直接対話」「電話」がコミュニケーションの手段であったが、今はメール、SNSなど間接的な対話手段が増える事で「一方通行」で終わりがち

➡自分が考えるコミュニケーションの常識が通じなくなってきており、伝達不足、理解不足が生まれやすくなっている。

❹オンライン対話の限界

対話時間が決められているので有効な「無駄話」が出来ず、心理的な距離が縮まらない

本音が読めない

➡仕事のやりと入りで終わってしまう。部下の心理がわからない。

❺指示待ちの常套化

部下自ら近寄ってこない、言われたことはやるが、言われるまで動かない

➡考える力がないわけでいが、自己防衛意識が強固であるため、言われたことをやれば安全という感覚を持っている。


では、このように障害の要因が沢山ある中で           どのようにして「コミュニケーションの生産性」を        上げて行けば良いのか?

という事ですが、

まず、部下世代の気質を読み取る必要があります。

ステレオタイプな決めつけは危険ですが、

一般的に20代を中心とした「若者世代」は、

「用心深く、デバイスを介してのコミュニケーションに慣れているので本当の意味で人間関係を築くという事に対する経験値が低い」

という特徴があるという事です。

もっと言うと彼らが考えている「人間関係」に対する認識が

上司の考えるものと違うと言う事かもしれません。



なので、こちらの常識や経験を元に

部下との関わり方を考えてゆくのではなく、



相手を振り向かせるような関わり方を「焦らず、腰を据えて」

行ってゆく必要があります。

■部下との関係性強化に向けたステップ

世代による意識の変化はあっても

同じ人間である以上、
人間が持つ根本的な欲求に変わりはありません。

関係性の強化を考える上で
大きな影響を与えるであろう欲求は
「帰属認知欲求」と言うものです。

この欲求は「自分を見て欲しい」「気に掛けて欲しい」

と言う欲求で


人間が持つ欲求の中でも最も強烈な欲求と言っても

良いかもしれません。



この欲求を踏まえた上で

❶認める

❷繋がる

❸本音で対話する

と言うステップを踏む必要があります。


特に❶の「認める」はより「丁寧さ」が求められます。

「昔はそんなこと考えなくて良かったのに」「面倒くさいなぁ」と

思われるかもしれませんが、

経験上、「面倒くさい」「やりたくない」と思う所に

「真理」が隠れているものですし、

一見遠回りに見えても

私は、現在これが一番の近道であると思っています。


では、何を、どうやって認めるのかという事ですが、

「認める」にも3つの段階があります。

・存在を認める

・行動を認める

・成果・成長を認める

です。

この「認める」についてはまた、お話したいと思います。

日本人が主体性を発揮できない決定的要因

■日本人が主体性を発揮できない決定的理由

自らの主体性を発掘し、これを発揮してゆく事が、これからの日本人に必要であることは、何回もお伝えしてきましたが、その前段階として解決しなくてはいけない事があります。

それは「自己肯定感」の低さです。 これは、日本人全体にかかわる事で、特徴的なマイナス要因と言っても良いと思います。

自己肯定感とは、自分の存在意義や存在価値を自分自身が認める感情を言いますが、この感情が決定的に低い人が日本において多く見られるのは、内閣府の調査などからもわかっています。

長男の授業参観などに参加すると、昔と比べて今は、教育もずいぶんと変わったという印象をうけましたが、日本社会にはびこる「ダメ出し習慣」は未だに大きく影響していると言わざるを得ません。

これは、長きにわたって、「人の成長=ダメなところを改善してゆく事」という常識があり、叱咤する事で奮起を促してゆくのが正しいアプローチであるという考え方が主流であったからです。

叱咤されて「コンチクショー」今に見てろ!!となるはずだという前提でこれが正しい教育であるという考え方になるのでしょうが、今は「叱咤➡凹み➡私は駄目だ」になってしまうのです。

さらに、その叱咤も「愛」があれば良いのですが、大半は上司のストレスをぶつけているだけなので、マイナスしかありません。

現在、企業向けのプログラムとして「主体性プログラム」を実施しているのですが、自分の過去を振り返るパートで参加者のレポートを見るとその事を痛感させられます。

日本人がタフでなくなったと言えばそれまでかもしれませんが、原因を指摘しても何も変わらず、私たちはその変化に対応してゆく必要があります。

多くの場合「自己肯定感」は、対人関係において形成され、周囲の人の評価によって大きな影響を受けます。

なぜなら、私たちは自分自身のことを認識することが難しく、人を通じて「自分を知る機会が多い」からです。

したがって、「自己肯定感」を高めるために取るべきアプローチは、「自分の価値=他人からの評価」という基準を「自分」に取り戻す事、自分から他人のストロングポイントを発見して、伝えてゆく習慣を身に着けてゆく事の両面を同時に考えてゆく必要があります。

まず、自分に対する評価を取り戻す為には、「自分の過去から今までを振り返り、一旦洗いざらい言語化する」必要があります。

これはまた、詳しくお話ししますが、いろんな出来事の蓄積によって「今の私」があるわけで、どのように自分が形成されていったのかを振り返る事で、忘れていた事や自分がその時その時に抱いた感情を俯瞰して捉える事が出来るからです。 そして、冷静に振り返る事で「誤解」に気付く事が出来ます。

「あの時はこう思っていたけど、今から思うと違っていた」というような発見が度々あるのです。

これによって、自分を縛っていた「呪縛」から自分を解放する事が出来るようになります。

そうすれば、「本当は大したことがないこと」に捉われていたんだと気付くわけです。

過去の印象で「タグ付け」されていた出来事を改めて解釈しなおすることで「無意味化」する。

そんなアプローチをすることで今まで背負い込んでいた重い荷物を下ろすことが可能になります。 この重い荷物が、「自己肯定感」を下げる大きな要因であったわけですから、「重い荷物」を下ろすことであたかもサイドブレーキが外れた車のように身軽になります。

後は、自分がこれから未来に向かってどう生きるか?どこに行くのか?を決めて、そのために必要なことを実行してゆけばよいわけです。

もうひとつ、自分から他人のストロングポイントを探すという事ですが、これは自分の中に「良い所に目が行く習慣」を作ってゆくのが主な目的ですが、それと同時に皆がこれをできるようになれば、お互いの存在を認め合える社会が創れるからです。

これから、新しい教育を受けた子供たちが、少しづつ社会に巣立ってゆきます。

学校でせっかく良い習慣を身に着けてきても会社が旧態依然とした教育をしていては、育つものも育ちません。

なので、今から良いとことを見つける、そして伝える習慣をつけてゆきましょう。

そうすれば、今の社会にある人間関係によって作られている様々な問題は消えてゆくと思います。

私もそのために信念を持って活動を続けてゆきます。